労働者の定義とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
労働者の定義の定義
労働者とは、職業の種類に関係なく、会社などの事業所で働き、その対価として賃金を受け取る人のことを指します。
労働基準法第9条では、以下のように定められています。
【労働基準法 第9条】 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
この条文は、労働基準法をはじめとする労働関係法令の保護対象が誰なのかを定める、非常に重要な規定です。この定義に当てはまるかどうかで、年次有給休暇(労働基準法 第39条)や休憩(同法 第34条)の権利、時間外労働の規制(同法 第36条)などが適用されるかが決まります。
労働者の定義のポイント
社労士試験で問われる「労働者」の定義のポイントは、条文を2つの要素に分解して理解することです。
- 事業又は事務所に使用される者であること(使用従属性)
- 賃金を支払われる者であること(賃金支払性)
この2つの要件を両方とも満たす必要があります。どちらか一方でも欠ければ、労働基準法上の「労働者」には該当しません。
ポイント1:使用従属性(しようじゅうぞくせい)
「使用される」とは、使用者(会社など)の指揮監督のもとで労働している状態を指します。これを「使用従属関係」と呼びます。試験対策上、この使用従属関係があるかどうかは、契約の名称(例:「雇用契約」「業務委託契約」)といった形式ではなく、労働の実態に基づいて判断される点が非常に重要です。
具体的には、以下のような要素を総合的に考慮して判断されます。
- 仕事の依頼や業務指示に対する諾否の自由の有無:指示を断れない場合は、使用従属性が強いと判断されます。
- 業務遂行上の指揮監督の有無:仕事の進め方や内容について、具体的な指示を受けているか。
- 勤務場所や勤務時間の拘束性の有無:働く場所や時間が指定されているか。
- 代替性の有無:自分以外の他の人に業務を代わってもらうことが認められているか。認められない場合は使用従属性が強いと判断されます。
ポイント2:賃金支払性
「賃金を支払われる」とは、労働の対償として賃金を受け取っていることを指します。賃金、給料、手当、賞与など名称は問いません。無償のボランティア活動などは、この要件を満たさないため労働者には該当しません。
覚え方のコツとしては、「指揮監督下(使用されて)で働き、お給料(賃金)をもらう人」とシンプルにイメージすると良いでしょう。
具体例で理解する労働者の定義
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労働者に該当する例
- 正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト:これらは典型的な労働者です。名称や勤務時間の長短にかかわらず、上記の2要件を満たします。
- 試用期間中の社員:試用期間中であっても、会社と雇用契約を結び、指揮監督下で働き賃金を得ているため、労働者に該当します。
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労働者性の判断が分かれる例
- 業務委託契約のプログラマー:契約上は個人事業主でも、毎日決まった時間に会社に出社し、上司から具体的な業務指示を受けて作業している場合、その実態から「労働者」と判断される可能性があります。この場合、労働基準法が適用され、時間外労働の割増賃金などを請求できることになります。
- 保険の外交員:完全歩合制であっても、会社から営業手法について詳細な指示を受け、会議への出席が義務付けられているなど、指揮監督関係が強い場合は労働者と判断されることがあります。
試験対策:ひっかけに注意!
労働者の定義に関する問題では、形式と実態の違いを問うひっかけ問題が頻出します。
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ひっかけ1:契約形式に惑わされない! 最も注意すべきポイントです。「業務委託契約」や「請負契約」という名称であっても、実態として使用者の指揮監督下で働いていれば「労働者」に該当します。逆に、「雇用契約」という名称でも、実態が伴わなければ労働者とは認められません。**「契約形式より実態を優先する」**という原則を必ず押さえてください。
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ひっかけ2:法人の役員 会社の代表取締役や役員は、基本的に経営を行う「使用者」側の立場であり、労働者には該当しません。ただし、部長を兼務する取締役(いわゆる使用人兼務役員)のように、役員としての職務とは別に、従業員として指揮命令を受けて働き、その対価として賃金を得ている部分については、労働者としての性格を持つと判断される場合があります。詳細は最新の法令を確認してください。
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ひっかけ3:同居の親族 原則として、同居の親族は事業主と一体の存在とみなされ、労働者には該当しません。ただし、他の従業員と全く同じように出退勤管理がされ、業務上の指揮命令を受け、賃金が支払われているなど、労働者としての実態が明確な場合は、例外的に労働者として扱われることがあります。詳細は最新の法令を確認してください。
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ひっかけ4:失業者や求職者 失業者や求職中の人は、まだ誰にも「使用」されておらず、「賃金」も支払われていないため、労働基準法上の労働者には該当しません。
よくある質問
Q: 個人事業主やフリーランスは労働者にあたりますか?
A: 契約形式が「業務委託」などであっても、労働者にあたる場合があります。重要なのは契約の名称ではなく、働き方の実態です。発注者から具体的な指揮監督を受け、時間や場所に強い拘束があるなど、「使用従属関係」が認められる場合は、労働基準法上の労働者と判断される可能性があります。
Q: 無給のインターンシップ生は労働者ですか?
A: インターンシップの内容によります。見学や研修が主体で、実質的な労働を行っていない場合は労働者には該当しません。しかし、インターンシップ生が社員と同様の業務を指揮監督のもとで行い、それが会社の利益に繋がっているような場合は、たとえ無給であっても実態として労働者と判断され、会社は賃金を支払う義務が生じる可能性があります。詳細は最新の法令を確認してください。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。