変形労働時間制とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

変形労働時間制の定義

変形労働時間制とは、業務の繁閑(はんかん)に合わせて労働時間を柔軟に配分する制度です。一定の期間を平均し、週の労働時間が法定労働時間を超えない範囲内であれば、特定の日や特定の週に法定労働時間を超えて労働させることが可能になります。

労働基準法では、労働時間の上限が原則として定められていますが、季節によって業務量が大きく変動する業種など、画一的な労働時間管理が馴染まない場合があります。そのような実態に対応し、労使の工夫によって労働時間の短縮を図ることを目的として設けられたのが、この変形労働時間制です。

なお、変形労働時間制には1ヶ月単位、1年単位、フレックスタイム制など複数の種類があり、それぞれで対象期間や手続きなどの要件が異なります。詳細は最新の法令を確認してください。

変形労働時間制のポイント

社労士試験で変形労働時間制を理解する上で、他の労働時間制度との関連性を押さえることが重要です。特に、提供された法令データとの関連では、以下の3点がポイントとなります。

  1. 時間外労働(36協定)との関係 変形労働時間制は、あらかじめ定めた労働時間を超えない限り、特定の日や週に法定労働時間を超えても、直ちに時間外労働とはなりません。これがこの制度の最大の特徴です。しかし、そのあらかじめ定めた所定労働時間を超えて労働させる場合や、法定休日に労働させる場合には、別途、労働基準法第36条に基づく労使協定(ろうしきょうてい)、いわゆる36(サブロク)協定を締結し、行政官庁へ届け出る必要があります。

  2. 休憩時間との関係 変形労働時間制を導入し、1日の労働時間が法定の時間を超える場合でも、休憩に関する規定は通常通り適用されます。労働基準法第34条に基づき、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければなりません。例えば、変形労働時間制により1日の所定労働時間を10時間と定めた日には、必ず1時間以上の休憩が必要です。

  3. 年次有給休暇との関係 変形労働時間制の適用を受ける労働者であっても、年次有給休暇の権利は保障されます。労働基準法第39条の要件(雇入れの日から6箇月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤)を満たせば、年次有給休暇が付与されます。変形労働時間制だからといって、年休の付与日数が減らされたり、取得が制限されたりすることはありません。

具体例で理解する変形労働時間制

例えば、ある小売店が「月末のセール期間は忙しいが、月の中旬は比較的閑散としている」という状況を考えてみましょう。

【変形労働時間制を導入しない場合】 毎日8時間勤務が原則です。月末の忙しい時期に10時間働くと、2時間分は時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要です。一方、中旬の暇な時期も8時間勤務するため、業務量と労働時間が合わない非効率が生じる可能性があります。

【変形労働時間制(例:1ヶ月単位)を導入した場合】 1ヶ月の総労働時間の枠内で、労働時間を柔軟に配分できます。

  • 閑散期(月の中旬): 1日の労働時間を7時間に設定
  • 繁忙期(月末): 1日の労働時間を9時間に設定

このように設定することで、1ヶ月を平均して週40時間の労働時間に収まっていれば、月末に9時間働いた日があっても、1時間分は時間外労働とはならず、割増賃金は発生しません。これにより、企業は人件費を効率化でき、労働者はメリハリのある働き方が可能になります。

試験対策:ひっかけに注意!

変形労働時間制は、その例外的な性質から、試験では原則的なルールとの混同を狙った「ひっかけ問題」が出題されやすい分野です。以下のポイントに注意しましょう。

  • ひっかけ①:時間外労働の考え方 (誤)「変形労働時間制を導入すれば、36協定を届け出なくても残業させ放題になる」 (正)なりません。変形労働時間制は、あくまで「あらかじめ定めた所定労働時間」を柔軟に設定できる制度です。その定めた時間を超える労働法定休日の労働には、労働基準法第36条に基づく36協定の締結・届出が別途必要です。

  • ひっかけ②:休憩・休日の適用 (誤)「1日の労働時間を10時間と定めた日は、特別な働き方なので休憩を与えなくてもよい」 (正)誤りです。労働時間が8時間を超えるため、労働基準法第34条に基づき、少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与える義務があります。変形労働時間制は、休憩や法定休日の規定を免除するものではありません。

  • ひっかけ③:年次有給休暇の権利 (誤)「変形労働時間制の対象者は、通常の労働者と比べて年次有給休暇の付与日数が少なくなる」 (正)なりません。年次有給休暇の付与要件(継続勤務期間、出勤率)は労働基準法第39条に定められており、働き方の形態によって変わるものではありません。要件を満たせば、通常の労働者と同様の日数が付与されます。

よくある質問

Q: パートタイム労働者にも変形労働時間制は適用できますか?

A: はい、適用できます。労働基準法第9条で定める「労働者」には、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用され賃金を支払われる者が該当します。したがって、パートタイム労働者やアルバイトも労働者に含まれ、変形労働時間制の対象とすることができます。ただし、制度を適用するための各要件を満たす必要がありますので、詳細は最新の法令を確認してください。

Q: 変形労働時間制を導入すれば、36協定は不要になりますか?

A: いいえ、不要にはなりません。変形労働時間制は、労使であらかじめ定めた範囲内で労働時間を配分する制度です。その定めた所定労働時間を超えて労働させる場合や、法定休日に労働させる場合には、時間外労働・休日労働となり、労働基準法第36条に基づく36協定の締結と行政官庁への届出が別途必要になります。両者は目的が異なる制度であり、必要に応じて併用されるものです。

Q: 変形労働時間制の期間中に年次有給休暇を取得した場合、その日の労働時間はどうなりますか?

A: 年次有給休暇を取得した日については、その日に予定されていた所定労働時間分を労働したものとして扱われます。例えば、変形労働時間制によってその日の所定労働時間が10時間と定められていた場合、年休を取得すると10時間分の賃金が保障されます。逆に、6時間と定められていた場合は6時間分となります。詳細は最新の法令を確認してください。

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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/2/2 / 更新日: 2026/2/2