消滅時効とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
消滅時効の定義
消滅時効(しょうめつじこう)とは、一定期間、権利を行使しないことによって、その権利が消滅してしまう制度のことです。労働基準法においても、労働者(労働基準法 第9条)が持つ様々な権利について、この消滅時効が定められています。
例えば、賃金を請求する権利や、年次有給休暇を請求する権利などがこれにあたります。権利を持っていても、法律で定められた期間内に行使しなければ、その権利を主張できなくなってしまうため、社労士試験では非常に重要な論点となります。
具体的な時効期間については、労働基準法第115条などで定められていますが、法改正が頻繁に行われる分野でもあるため、常に最新の情報を確認することが不可欠です。
消滅時効のポイント
社労士試験で消滅時効を攻略するためのポイントは、「どの権利」が「いつから(起算点)」「どのくらいの期間(時効期間)」で消滅するのかを正確に覚えることです。
- 起算点(きさんてん): 時効期間のカウントがスタートする日のことです。例えば、賃金請求権であれば「賃金の支払日」、年次有給休暇であれば「権利が発生した日(基準日)」となります。この起算点を間違えると、正解にたどり着けません。
- 時効期間: 権利ごとに時効期間は異なります。主な権利の時効期間を整理して覚えることが重要です。
【覚え方のコツ】 有名なゴロ合わせとして、「賃金(ちんぎん)は3年、退職金(たいしょくきん)は5年」などがあります。文字数と年数を関連付けて覚える方法ですが、これはあくまで学習の補助として活用し、必ず正確な条文知識で裏付けを取るようにしましょう。
【労働基準法上の主な権利と時効】 | 権利の種類 | 時効期間(原則) | |:---|:---| | 賃金請求権(退職手当を除く) | 3年 | | 退職手当請求権 | 5年 | | 年次有給休暇請求権 | 2年 | | 災害補償請求権 | 2年 |
※上記は一般的な期間です。法改正により変更される可能性があるため、詳細は最新の法令を確認してください。
具体例で理解する消滅時効
提供された法令データを基に、具体的なケースで考えてみましょう。
ケース1:未払いの残業代 労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)を締結し、労働者に時間外労働をさせた場合、使用者は割増賃金を支払う義務があります。もし、この割増賃金が支払われなかった場合、労働者(第9条)は未払賃金請求権を持ちます。この請求権は、本来の給与支払日から3年(当分の間の措置)で時効により消滅します。例えば、2026年4月25日が給料日の場合、その日に支払われるべき残業代の請求権は、2029年4月24日の経過をもって時効消滅します。
ケース2:未取得の年次有給休暇 労働基準法第39条では、「雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者」に対して、10労働日の年次有給休暇が与えられます。この年次有給休暇を請求する権利は、権利が発生した日(基準日)から2年で時効により消滅します。例えば、2026年4月1日に入社した労働者が、同年10月1日に年休の権利を得た場合、その10日分の年休は2028年9月30日の経過をもって請求できなくなります。
試験対策:ひっかけに注意!
消滅時効は、ひっかけ問題が作りやすい論点です。以下の点に注意しましょう。
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起算日の間違い 「権利が発生した日」と「権利を行使できることを知った日」を混同させる問題が出題されることがあります。労働基準法上の時効の起算点は、客観的に権利を行使できるようになった時点(権利発生日)であると覚えておきましょう。
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法改正前の古い知識 賃金請求権の時効は、かつて2年でした。法改正により現在は3年(当分の間の措置)となっています。試験では、こうした法改正の経緯を理解しているかを問う問題が出される可能性があります。常に最新の知識にアップデートしておくことが重要です。
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類似概念との混同 時効と似た概念に「除斥期間(じょせききかん)」があります。時効は、当事者が時効の利益を受ける意思表示(援用)をすることで効果が発生し、また、請求などにより時効の完成が猶予されたり、更新(リセット)されたりします。一方、除斥期間は期間の経過によって当然に権利が消滅し、中断や停止(完成猶予・更新)の概念がありません。この違いを問う問題にも注意が必要です。
よくある質問
Q: 消滅時効の進行を止めることはできますか?
A: はい、可能です。民法の規定に基づき、裁判上の請求、支払督促、差押え、または相手方が権利を認める「承認」(例:未払賃金の一部を支払うなど)といった事由があると、時効の完成が猶予されたり、時効期間がリセット(更新)されたりします。社労士試験では、労働法と民法の関連知識が問われることがあるため、基本的な考え方を理解しておくと良いでしょう。詳細は最新の法令を確認してください。
Q: 退職した場合、在職中に発生した未払残業代や未取得の年休はどうなりますか?
A: 退職したとしても、消滅時効が完成していない権利は請求可能です。未払残業代は賃金請求権として、退職後も時効期間が満了するまで請求できます。一方、年次有給休暇は、在職中であることが権利行使の前提となるため、退職によって請求権そのものが消滅します。ただし、退職前に時季指定していたにもかかわらず取得できなかった場合や、会社が年休の買い上げに合意した場合などは、金銭的な請求が可能になるケースもありますが、これは例外的な扱いです。詳細は最新の法令を確認してください。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。