平均賃金とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
平均賃金の定義
平均賃金(へいきんちんぎん)とは、労働基準法に定められた手当や補償(解雇予告手当、休業手当、災害補償など)を計算する際の基礎となる金額のことです。原則として、「算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」と定められています。
平均賃金のポイント
社労士試験で平均賃金をマスターするには、原則の計算式と、分子(賃金総額)と分母(総日数)の例外ルールを正確に覚えることが重要です。
1. 原則的な計算方法
平均賃金 = 算定事由発生日以前3箇月間の賃金総額 ÷ その期間の総日数(暦日数)
- 算定期間: 事由が発生した日は含まず、その前日から遡って3箇月間です。例えば、事由発生日が7月10日の場合、7月9日から遡って計算します。
- 賃金締切日がある場合: 混乱を避けるため、事由発生日の直前の賃金締切日から遡って3箇月間で計算します。例えば、月末締めで7月10日に事由が発生した場合、6月30日から遡り、4月1日~6月30日の3箇月間で計算します。
2. 分子「賃金総額」に含まれないもの
以下の賃金は、計算から除外されます。
- 臨時に支払われた賃金(例:結婚手当、私傷病手当、見舞金など)
- 3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:年2回や年1回の賞与)
- 通貨以外のもので支払われた賃金で、法令や労働協約で定められていないもの
※通勤手当や時間外手当は、毎月経常的に支払われるため「賃金総額」に含まれます。
3. 分母「総日数」から控除される期間
以下の期間がある場合、その日数と、その期間中に支払われた賃金は、分母(総日数)と分子(賃金総額)の両方から控除します。
- 業務上の負傷・疾病による休業期間
- 産前産後休業期間
- 使用者の責に帰すべき事由による休業期間
- 育児・介護休業期間
- 試みの使用期間(試用期間)
(覚え方)ゴロ合わせ:「産後(産前産後)の業務(業務上の傷病)は育児(育児・介護休業)の試み(試用期間)、使用者(使用者の責)の都合で日数から引く」
4. 最低保障額
日給制、時間給制、出来高払制の労働者については、原則の計算式で算出した額が低くなりすぎないよう、最低保障額が定められています。以下の①と②を比較し、高い方の金額が平均賃金となります。
① 原則の計算式: 賃金総額 ÷ 総日数 ② 最低保障額: (賃金総額 ÷ その期間の労働日数) × 60/100
具体例で理解する平均賃金
【例1:月給制の労働者】
- 賃金:月給30万円(毎月末日締め)
- 算定事由発生日:7月10日
- 算定期間の確定: 直前の賃金締切日である6月30日から遡るため、4月1日~6月30日。
- 総日数の計算: 4月(30日) + 5月(31日) + 6月(30日) = 91日
- 賃金総額の計算: 30万円 × 3箇月 = 90万円
- 平均賃金の計算: 90万円 ÷ 91日 ≒ 9,890.10円(銭未満は切り捨て)
【例2:日給制の労働者(最低保障の確認)】
- 賃金:日給1万円
- 算定期間:4月1日~6月30日(総日数91日)
- 期間中の労働日数:60日
- 賃金総額の計算: 1万円 × 60日 = 60万円
- 原則計算(①): 60万円 ÷ 91日 ≒ 6,593.40円
- 最低保障額の計算(②): (60万円 ÷ 60日) × 60% = 1万円 × 0.6 = 6,000円
- 比較: ①(6,593.40円) > ②(6,000円) なので、平均賃金は 6,593.40円 となります。
試験対策:ひっかけに注意!
- 分母は「総日数」!: 平均賃金の原則計算の分母は、実際に働いた「労働日数」ではなく、休日も含めた「総日数(暦日数)」です。最低保障額の計算と混同しないように注意しましょう。
- 起算日は「直前の賃金締切日」: 賃金締切日がある場合、算定期間は「事由発生日」から遡るのではなく、「直前の賃金締切日」から遡ります。これは非常に重要なひっかけポイントです。
- 賞与は原則除外、でも例外あり: 「3箇月を超える期間ごと」に支払われる賞与は除外されますが、もし賞与が「3箇月以内」の期間ごとに支払われる場合は、賃金総額に算入されます。
- 通勤手当は算入する: 所得税法上は非課税でも、労働基準法上の賃金には該当するため、平均賃金の算定基礎となる賃金総額に含めて計算します。
よくある質問
Q: 入社して3箇月に満たない労働者の平均賃金はどう計算しますか?
A: 雇入れ後の期間が3箇月に満たない場合は、その雇入れ後の期間で計算します。例えば、雇入れ後1箇月で算定事由が発生した場合、その1箇月間の賃金総額をその期間の総日数で除して計算します。詳細は最新の法令を確認してください。
Q: 平均賃金の計算で1円未満の端数が出た場合はどうなりますか?
A: 銭未満の端数(小数点第3位以下)は切り捨てます。例えば、計算結果が「9,890.109円」となった場合、平均賃金は「9,890.10円」となります。
Q: 年次有給休暇を取得した日の賃金を平均賃金で支払うことはできますか?
A: はい、可能です。年次有給休暇中の賃金の支払い方として、①通常の賃金、②平均賃金、③標準報酬月額(労使協定が必要)の3つの方法が認められています。②の平均賃金で支払うことを就業規則などで定めている場合があります。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。