社会保険審査官・社会保険審査会とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

社会保険審査官・社会保険審査会の定義

社会保険審査官(しゃかいほけんしんさかん)および社会保険審査会(しゃかいほけんしんさかい)は、健康保険、厚生年金保険、国民年金などの社会保険制度における保険者の処分(決定)に不服がある場合に、その救済を求めるための不服申立て(審査請求・再審査請求)を取り扱う機関です。

  • 社会保険審査官: 審査請求(第一審)を取り扱う機関で、各地方厚生局に置かれています。
  • 社会保険審査会: 再審査請求(第二審)を取り扱う機関で、厚生労働省に設置されています。

この二段階の審査制度は、裁判によらず、簡易・迅速に被保険者等の権利利益を保護することを目的としています。

社会保険審査官・社会保険審査会のポイント

社労士試験では、審査請求と再審査請求の手続きの違いが頻繁に問われます。以下の表でポイントを整理して覚えましょう。

審査請求(第一審)再審査請求(第二審)
申立先地方厚生局の社会保険審査官厚生労働省の社会保険審査会
対象となる処分被保険者資格、標準報酬、保険給付に関する処分など社会保険審査官の決定に不服がある場合など
請求期間原処分があったことを知った日の翌日から3か月以内審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内
審理方式書面審理が原則(申立てにより口頭での意見陳述も可能)口頭審理が原則(公開)
最終判断決定裁決

覚え方のコツ

  • 期間の覚え方: 「審査(しん)」で3か月、「再審査(さいしんさ)」で2か月と、文字数と数字を関連付けて覚えましょう。
  • 審理方式の覚え方: 第一審の審査官は一人(独任制)で書類(書面)をじっくり見るイメージ。第二審の審査会は複数人の委員(合議制)で話し合う(口頭)イメージを持つと記憶に残りやすいです。

社会保険審査官・社会保険審査会」― 試験で出たら解ける?

全問解説付き・無料の社労士過去問アプリ

いますぐ過去問を解くApp Store / Google Play 対応

具体例で理解する社会保険審査官・社会保険審査会

【ケース】 会社員のAさんは、病気で会社を休み、全国健康保険協会(協会けんぽ)に傷病手当金を請求しましたが、不支給の決定通知を受け取りました。Aさんはこの決定に納得がいきません。

  1. 審査請求(第一審) Aさんはまず、決定通知を受け取った日の翌日から3か月以内に、管轄の地方厚生局にいる社会保険審査官に対して「審査請求」を行います。 Aさんは審査請求書と不支給決定通知書の写しなどを提出します。審理は主に書面で行われます。

  2. 再審査請求(第二審) 社会保険審査官の審理の結果、Aさんの請求を棄却する(認めない)という「決定」が出ました。Aさんがこの決定にも不服な場合、決定書の謄本を受け取った日の翌日から2か月以内に、厚生労働省の社会保険審査会に対して「再審査請求」を行います。 審査会では、原則として公開の場で口頭による審理が行われます。

  3. 訴訟 社会保険審査会の「裁決」にも不服がある場合、最終的には裁判所に対して行政事件訴訟を提起することになります。

試験対策:ひっかけに注意!

社労士試験では、正確な知識が問われます。以下のひっかけポイントに注意しましょう。

  • 請求期間の混同: 審査請求(3か月)と再審査請求(2か月)の期間を逆にしないように注意が必要です。 2016年の法改正で審査請求期間が60日から3か月に延長された経緯も知っておくとよいでしょう。
  • 申立先の混同: 第一審が「審査官」、第二審が「審査会」です。「官」→「会」の順と覚えましょう。
  • 審理方式の混同: 審査官は「書面審理」、審査会は「口頭審理」が原則です。逆にならないようにしましょう。
  • 労働保険審査制度との混同: 労働保険(労災・雇用)の不服申立制度とは、請求期間や審査会の構成が異なります。例えば、労働保険審査会は委員3名ですが、社会保険審査会は委員長および委員5人の計6人で組織されます。 科目横断で整理しておくことが重要です。
  • すべての処分が二審制ではない: 健康保険料や厚生年金保険料の徴収金に関する処分など、一部の処分については、社会保険審査官への審査請求を経ずに、直接、社会保険審査会へ審査請求(一審制)を行うものもあります。 この違いも問われる可能性があります。

ここまでの知識、過去問で試してみませんか?

読んだ内容がそのまま出題されます。解説付きで理解度を確認できます。

よくある質問

Q: 審査請求や再審査請求にお金はかかりますか?

A: いいえ、審査請求や再審査請求の手続きに費用はかかりません。無料で申し立てることができます。

Q: 審査請求をしないで、いきなり裁判を起こすことはできますか?

A: 原則としてできません。社会保険の保険給付に関する処分などの取消しを求める訴訟は、まず社会保険審査官への審査請求を行い、その決定を経た後でなければ提起できないとされています(審査請求前置主義)。 ただし、審査請求から一定期間(2か月)決定がない場合など、例外的に決定を待たずに訴訟を提起できるケースもあります。

この用語に関連する過去問に挑戦

この用語の理解度をチェックしましょう。社労士過去問クイズアプリで関連する過去問を解くことができます。

過去問に挑戦する


※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

社会保険審査官・社会保険審査会」の理解度をチェック

社労士過去問クイズ 2026

社労士過去問クイズ 2026 - AI解説機能のアプリ画面
腕試しこの用語から出題

審査請求や再審査請求にお金はかかりますか?

全10科目・1000問以上
全問解説付き・完全無料
2026年試験対応

公開日: 2026/3/26 / 更新日: 2026/4/24

社会一般の他の記事

社会保障審議会とは?組織構成・権限と社労士試験で問われるポイント

社会保障審議会(しゃかいほしょうしんぎかい)とは、厚生労働大臣の諮問(しもん)に応じて社会保障に関する重要事項を調査審議することなどを目的として、厚生労働省に設置される審議会です。根拠となる法律は厚生労働省設置法です。二 厚生労働大臣又は関係各大臣の諮問に応じて人口問題に関する重要事項を調査審議すること。

国民皆保険・国民皆年金とは?1961年の成立経緯と現在の仕組み

国民皆保険(こくみんかいほけん)・国民皆年金(こくみんかいねんきん)とは、日本に住むすべての国民が、何らかの公的な医療保険と年金制度に加入することを義務付けるです。国民皆保険は、すべての国民が公的医療保険に加入し、病気やケガをした際に少ない自己負担で医療サービスを受けられるようにする制度です。

社会保険制度の全体像とは?5つの柱と保険者・被保険者の比較表

社会保険制度とは、国民が病気やケガ、高齢、障害、死亡、失業といった生活上のリスクに直面した際に、必要な保険給付を行うことで生活を保障することを目的としたです。この制度は、加入者(被保険者)が事前に保険料を拠出し、その財源をもとに必要な人が給付を受けられる「相互扶助」の考え方に基づいています。

年金生活者支援給付金とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

年金生活者支援給付金とは、公的年金等の収入や所得額が一定基準額以下の年金受給者の生活を支援するため、年金に上乗せして支給される給付金です。根拠法は「年金生活者支援給付金の支給に関する法律」であり、その目的は、所得の低い高齢者や障害者・遺族の生活の支援を図ることにあります。

国民医療費とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

国民医療費とは、その年度内に医療機関などで「保険診療の対象となりうる傷病の治療」に要した費用を推計したものです。ここでいう費用には、医科・歯科の診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費などが含まれます。重要なのは、あくまで「推計」であるという点です。

社会保障費用統計とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

社会保険労務士(しゃかいほけんろうむし)試験の一般常識科目です。国の社会保障全体の規模感や内訳を把握するための重要な統計ですが、類似の用語も多く、苦手意識を持つ受験生も少なくありません。社労士試験で問われる要件やポイントを具体例とともに解説します。

厚生労働白書とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

厚生労働白書(こうせいろうどうはくしょ)とは、厚生労働省が毎年作成し、閣議で報告・公表する年次報告書です。厚生労働行政が所管する労働、福祉、医療、年金などの幅広い分野について、その現状や課題、今後の施策の方向性などを国民に広く知らせることを目的としています。

社会保障制度の沿革とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

社会保障制度の沿革(えんかく)とは、社会保障制度がどのように生まれです。特定の法令で定義されているわけではありませんが、各制度の目的や理念を深く理解する上で、その成り立ちを知ることは不可欠です。社労士試験で問われる要件やポイントを具体例とともに解説します。

他の科目で学ぶ