国民医療費とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
国民医療費の定義
国民医療費とは、その年度内に医療機関などで「保険診療の対象となりうる傷病の治療」に要した費用を推計したものです。 ここでいう費用には、医科・歯科の診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費などが含まれます。
重要なのは、あくまで「推計」であるという点です。各医療保険制度からの給付実績や公費負担医療の実績報告などを基に算出される、日本の医療費全体の規模を示すマクロな指標であり、社労士試験の社会一般常識分野で頻出の用語です。
国民医療費のポイント
社労士試験対策として、国民医療費のポイントを3つの側面から押さえましょう。
1. 最新の動向(金額と規模)
国民医療費は年々増加傾向にあります。試験では最新の統計データが問われる可能性があるため、概数を把握しておきましょう。
- 令和5年度(2023年度)の国民医療費: 約48.1兆円
- 人口一人当たりの国民医療費: 約38.7万円
これらの数字は過去最高を更新しており、高齢化の進展や医療の高度化が主な要因とされています。
2. 国民医療費の対象範囲(含まれるもの・含まれないもの)
試験で最も狙われやすいのが、この対象範囲です。何が国民医療費に含まれ、何が含まれないのかを正確に区別することが重要です。
| 含まれるもの | 含まれないもの | | :--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- | :--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- | | * 医科・歯科の保険診療費
- 薬局調剤医療費
- 入院時食事・生活医療費
- 訪問看護医療費
- 療養費(柔道整復師の施術費、移送費など)
- 労働者災害補償保険(労災保険)や公害健康被害補償などの給付分 | * 正常な妊娠・分娩に要する費用
- 健康診断、予防接種など、健康の維持・増進が目的の費用
- 差額ベッド代(選定療養)
- 先進医療などの評価療養
- 市販薬(OTC医薬品)の購入費用
- 介護保険制度によるサービス費用
- 固定した身体障害のための義眼や義肢の費用 |
【覚え方のコツ】 国民医療費は「病気やケガの治療」にかかる費用と覚えましょう。そのため、病気ではない「正常な妊娠・分娩」や、治療目的ではない「健康診断・予防接種」は対象外となります。
3. 国民医療費の財源
約48兆円にも上る国民医療費は、誰がどのように負担しているのでしょうか。財源の内訳も問われるポイントです。
- 保険料: 約50%(事業主と被保険者が負担)
- 公費: 約38%(国と地方自治体が税金で負担)
- 患者負担など: 約12%(医療機関の窓口で支払う自己負担分など)
大まかに「保険料が半分、公費が4割弱、患者負担が1割強」とイメージしておくと良いでしょう。
具体例で理解する国民医療費
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例1:風邪で病院へ Aさんが風邪をひいて近所のクリニックを受診し、処方箋をもらって薬局で薬を受け取った場合。Aさんが窓口で支払った自己負担額(例:3割)と、健康保険から医療機関へ支払われた給付額(例:7割)の**合計額(10割分)**が国民医療費に算入されます。
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例2:出産 Bさんが出産のため入院した場合。自然分娩で特に医療介入がなければ、その費用は「正常な分娩」として国民医療費には含まれません。しかし、帝王切開などの異常分娩となった場合、その手術や治療に関する費用は保険診療の対象となるため、国民医療費に含まれます。
試験対策:ひっかけに注意!
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ひっかけ1:介護保険のサービス費用 介護保険制度における訪問看護やリハビリテーションなどの医療系サービス費用は、国民医療費には含まれません。 介護保険制度が創設された平成12年度以降、明確に区分されています。 これは非常に間違いやすいポイントなので、必ず覚えておきましょう。
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ひっかけ2:「労災保険」は含まれる 業務災害や通勤災害による療養(補償)給付は、国民医療費に含まれます。 「健康保険から給付されないから、国民医療費にも含まれないのでは?」と混同しないように注意が必要です。国民医療費は、公的医療保険だけでなく、労災保険なども含んだ広い範囲の医療費を推計したものです。
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ひっかけ3:全額自己負担の費用 保険診療の対象となりうる傷病の治療を、保険証を使わずに全額自己負担で受けた場合、その費用は推計の上で国民医療費に含まれます。 一方で、差額ベッド代や先進医療など、もともと保険診療の対象外である費用は含まれません。
よくある質問
Q: なぜ正常な妊娠や分娩の費用は国民医療費に含まれないのですか?
A: 国民医療費は「傷病の治療」に要した費用を対象としています。 正常な妊娠や分娩は病気やケガとはみなされないため、原則として保険診療の対象外であり、国民医療費にも含まれません。 ただし、帝王切開や妊娠高血圧症候群など、治療が必要な「異常分娩」に関する費用は保険適用の対象となり、国民医療費に含まれます。
Q: 最新の国民医療費の正確な金額を暗記する必要はありますか?
A: 完璧な数字を暗記する必要はありませんが、「約48兆円」という規模感や、「増加傾向にある」というトレンドは掴んでおくべきです。 また、財源について「保険料が約5割、公費が約4割、患者負担が約1割」といった大まかな構成比を理解しておくことが、選択式問題などで役立ちます。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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