確定給付企業年金法とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
確定給付企業年金法の定義
確定給付企業年金法(かていきゅうふきぎょうねんきんほう)とは、少子高齢化の進展や産業構造の変化といった社会経済情勢の変化に対応するため、企業年金制度について定めた法律です。 この法律の目的は、事業主が従業員とあらかじめ給付の内容を約束し、従業員が高齢期にその約束に基づいた給付を受けられるようにすることで、公的年金と合わせて国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することにあります。
簡単に言うと、「会社が従業員の老後のために、あらかじめ約束した金額の年金を支払う制度(確定給付企業年金)のルールを定めた法律」です。社労士試験では、社会保険に関する一般常識の科目で出題されます。
確定給付企業年金法のポイント
社労士試験で問われる確定給付企業年金法の重要ポイントを、覚え方のコツとともに解説します。
1. 制度の2つのタイプ:「規約型」と「基金型」
確定給付企業年金には、実施形態によって「規約型(きやくがた)」と「基金型(ききんがた)」の2種類があります。 この違いは頻出ポイントです。
| | 規約型企業年金 | 基金型企業年金 | |:---|:---|:---| | 実施主体 | 事業主 | 企業年金基金(事業主とは別法人) | | 資産管理 | 事業主が信託会社・生命保険会社等と契約 | 企業年金基金 | | 設立要件 | 特になし | 常時300人以上の加入者が必要 | | 手続き | 規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受ける | 基金を設立し、厚生労働大臣の認可を受ける |
【覚え方のコツ】 「基金」という名前の通り、基金型は会社とは別の「お財布(法人)」を作って年金を運営するイメージです。別法人を作るので、設立要件が厳しく、手続きも「認可」とより厳格になります。一方、規約型は会社が直接外部機関と契約するシンプルな形なので、手続きは「承認」となります。この「承認」と「認可」の使い分けは試験で狙われやすいので注意しましょう。
2. 運用のリスクは事業主が負う
確定給付企業年金は、将来の給付額があらかじめ約束されている年金制度です。 そのため、年金資産の運用がうまくいかず、約束した給付額に足りなくなった場合、その不足分を穴埋めする責任は事業主が負います。 これは、加入者自身が運用リスクを負う「確定拠出年金(DC)」との最大の違いであり、必ず押さえておきたいポイントです。
3. 掛金は原則、全額事業主負担
年金の原資となる掛金は、原則として全額事業主が負担します。ただし、規約で定めれば、加入者の同意を得て加入者自身も掛金を負担することができます。その場合でも、加入者負担分は事業主負担分を超えることはできません。
4. 給付の種類
確定給付企業年金の給付には、必ず行わなければならないものと、規約で定めれば行うことができるものがあります。
- 必須の給付: 老齢給付金、脱退一時金
- 規約で任意に定められる給付: 障害給付金、遺族給付金
老齢給付金は、原則として終身または5年以上の有期年金として支給されます。
具体例で理解する確定給付企業年金法
【ケース1:A社(規約型)】 従業員100名のA社は、退職金制度として規約型の確定給付企業年金を導入することにしました。A社は、従業員の過半数の同意を得て年金規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けました。そして、信託銀行と資産管理運用契約を締結し、毎年掛金を拠出しています。従業員が65歳になった際には、規約で定められた計算式に基づき、年額60万円の老齢給付金が終身で支払われます。もし信託銀行の運用実績が悪化しても、A社が追加で掛金を拠出し、約束した年金額を必ず支払います。
【ケース2:B社グループ(基金型)】 従業員合計1000名の大手B社グループは、グループ会社共同で基金型の確定給付企業年金を導入しました。厚生労働大臣の認可を受けて「B社グループ企業年金基金」という別法人を設立し、基金が年金資産の管理・運用から給付までを一貫して行っています。これにより、グループ全体で効率的な年金運営が可能になっています。
試験対策:ひっかけに注意!
社労士試験では、類似制度との違いを問うひっかけ問題が頻出します。
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ひっかけ①:確定拠出年金(DC)との混同 「確定給付企業年金の資産運用は加入者が行い、その運用実績によって将来の給付額が変動する」という選択肢は誤りです。これは確定拠出年金(DC)の説明です。 確定給付企業年金(DB)は、給付額が確定しており、運用リスクは事業主が負います。
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ひっかけ②:厚生年金基金との混同 「確定給付企業年金は、国に代わって老齢厚生年金の一部を支給する」という選択肢は誤りです。国の年金を代行する機能を持っていたのは、現在、新規設立が認められていない厚生年金基金です。 確定給付企業年金は、純粋な企業独自の上乗せ年金制度です。
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ひっかけ③:加入者資格 「加入者となれるのは、70歳未満の厚生年金被保険者に限られる」という選択肢は誤りです。厚生年金保険の被保険者資格は70歳で喪失しますが、確定給付企業年金では、規約に定めることで70歳以上の者も引き続き加入者とすることができます。
よくある質問
Q: 確定給付企業年金(DB)と確定拠出年金(DC)は、どちらが良い制度ですか?
A: 一概にどちらが優れているとは言えません。確定給付企業年金(DB)は、将来もらえる額が決まっているため老後の生活設計が立てやすい安心感がありますが、企業の財政状況の影響を受ける可能性があります。 一方、確定拠出年金(DC)は、自分の運用次第で給付額を増やせる可能性がありますが、運用リスクは自身で負う必要があります。 それぞれにメリット・デメリットがあります。
Q: 会社を退職した場合、積み立てた年金資産はどうなりますか?
A: 退職時には、多くの場合「脱退一時金」として受け取るか、転職先の企業年金制度やiDeCo(個人型確定拠出年金)などに年金資産を持ち運ぶ(移換する)ことができます。これを「ポータビリティ」と呼びます。ただし、一時金で受け取るための要件や、移換できる制度の種類は、企業の規約によって異なりますので、詳細は最新の法令や自社の規約を確認してください。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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