健康保険の適用除外とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
健康保険の適用除外の定義
健康保険の適用除外とは、法人事業所や常時5人以上の従業員を使用する個人事業所など、法律上当然に健康保険の適用事業所となる事業所(強制適用事業所)で働いていても、特定の条件に該当することにより、健康保険の被保険者とならないことをいいます。
根拠条文は健康保険法第3条第1項に定められており、適用除外に該当する者は、原則として日雇特例被保険者になる場合を除き、一般の被保険者になることはできません。
健康保険の適用除外のポイント
社労士試験では、どのような人が適用除外になるのか、また、当初は適用除外だった人がどのような場合に被保険者資格を取得するのか、その「切り替わりのタイミング」が頻繁に問われます。以下に挙げる適用除外者を正確に覚えましょう。
【適用除外となる者】(健康保険法第3条第1項)
- 船員保険の被保険者
- 臨時に使用される者
- 日々雇い入れられる者
- 2か月以内の期間を定めて使用される者
- 事業所の所在地が一定しない事業所に使用される者
- 季節的業務に使用される者
- 臨時的事業の事業所に使用される者
- 後期高齢者医療の被保険者等
- 国民健康保険組合の事業所に使用される者など、その他厚生労働省令で定める者
特に重要なのが「臨時に使用される者」の扱いです。当初は適用除外でも、一定期間を超えて引き続き使用されると、その日から被保険者資格を取得します。この「超えた日から」という点が試験の最重要ポイントです。
【覚え方のコツ(ゴロ合わせ)】
「船員(せんいん)は、臨時(りんじ)で不安定(ふあんてい)な季節(きせつ)に、後期(こうき)の国保(こくほ)へ」
- 船員 → 船員保険の被保険者
- 臨時 → 臨時に使用される者、臨時的事業の事業所
- 不安定 → 所在地が一定しない事業所
- 季節 → 季節的業務
- 後期 → 後期高齢者医療の被保険者等
- 国保 → 国民健康保険組合の事業所
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具体例で理解する健康保険の適用除外
| 適用除外のケース | 具体例と被保険者になるタイミング | 解説 |
|---|---|---|
| 日々雇い入れられる者 | 日雇いバイトとして働いていたが、業務が忙しくなり、同じ事業所で35日間連続で働くことになった。 | 1か月を超えて引き続き使用されることになった31日目から被保険者となります。 当初に遡らない点に注意が必要です。 |
| 2か月以内の期間を定めて使用される者 | 2か月の契約でイベントスタッフとして雇用されたが、好評につき契約を更新し、3か月目も働くことになった。 | 当初の契約期間(2か月)を超えて引き続き使用されることになった3か月目の初日から被保険者となります。 |
| 季節的業務に使用される者 | スキー場で3か月の予定でインストラクターとして雇用された。 | 当初から継続して4か月を超えて使用される予定の場合を除き、適用除外となります。 たとえ、雪解けが遅れて結果的に4か月を超えて働いたとしても、当初の予定が4か月以内であれば被保険者にはなりません。 |
| 臨時的事業の事業所に使用される者 | 万国博覧会のパビリオンで5か月の予定で働いている。 | 当初から継続して6か月を超えて使用される予定の場合を除き、適用除外となります。 季節的業務の「4か月」と混同しないようにしましょう。 |
試験対策:ひっかけに注意!
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ひっかけポイント①:資格取得のタイミング 「日々雇い入れられる者」や「2か月以内の期間を定めて使用される者」が、所定の期間を超えて引き続き使用される場合、資格取得日は「当初の雇用日に遡る」のではなく、「所定の期間を超えた日」です。 この違いは選択式・択一式ともに狙われやすい最重要ポイントです。
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ひっかけポイント②:「季節的業務」と「臨時的事業」の期間 季節的業務は「4か月」、臨時的事業は「6か月」が基準です。 この2つの数字を入れ替える問題に注意してください。また、これらの業務では、当初の予定期間を超えて結果的に長く働いたとしても被保険者にはならず、当初から基準期間を超えて使用される予定の場合に、初日から被保険者となります。
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ひっかけポイント③:後期高齢者医療制度との関係 75歳以上の人(または65歳以上75歳未満で一定の障害の状態にある人)は、後期高齢者医療制度の被保険者となるため、健康保険の被保険者にはなれません。 これは被扶養者についても同様で、後期高齢者医療制度の被保険者である親族を、健康保険の被扶養者にすることはできません。
よくある質問
Q: パートやアルバイトなら健康保険に入らなくてもよいのでしょうか?
A: いいえ、そうとは限りません。「適用除外」に該当しない限り、パートやアルバイトといった名称にかかわらず、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が同じ事業所の正社員の4分の3以上である場合は、原則として被保険者となります。 また、この基準に満たなくても、従業員101人以上の企業(2024年10月からは51人以上)で、週の所定労働時間が20時間以上、月額賃金が8.8万円以上、雇用期間が2か月を超える見込みがあるなどの要件を満たす場合は、被保険者となります。
Q: 2か月の契約満了で一度退職し、1週間後に同じ会社で再度2か月の契約を結んだ場合、健康保険に加入しますか?
A: 形式的には雇用契約が一旦中断しているため、「引き続き使用される」とはみなされず、適用除外のままとなる可能性が高いです。しかし、実態として雇用関係が継続していると判断されるような場合は、個別に判断されることもあります。社労士試験対策としては、契約が更新されるなどして「所定の期間を超えて引き続き使用される」ケースを正確に理解しておくことが重要です。
この用語が実際に問われた過去問
**2023年度 本試験(健康保険法・択一式)**では、健康保険の適用除外が次の肢で問われました。
適用事業所に臨時に使用される者で、当初の雇用期間が2か月以内の期間を定めて使用される者であっても、就業規則や雇用契約書その他の書面において、その雇用契約が更新される旨又は更新される場合がある旨が明示されていることなどから、2か月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合には、最初の雇用契約期間の開始時から被保険者となる。
答え: 正しい
2022年10月からの法改正(適用拡大)により、2か月以内の雇用でも「更新が見込まれる場合」は当初から被保険者となります。
この問題は5肢すべてが健康保険法の論点です。残りの肢と解説、2021〜2025年度の過去問350問は社労士過去問クイズアプリで解けます。
もう1問:過去問で確認する
**2023年度 本試験(健康保険法・択一式)**では、健康保険の適用除外が次の肢で問われました。
適用業種である事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用する事業所は適用事業所とされるが、事業所における従業員の員数の算定においては、適用除外の規定によって被保険者とすることができない者であっても、当該事業所に常時使用されている者は含まれる。
答え: 誤り
適用事業所の従業員数(常時5人以上)の算定には、適用除外者(後期高齢者医療の被保険者等)は含まれますが、そもそも被保険者となるべき者が5人未満であれば強制適用とはなりません。ただし、法人の事業所であれば1人でも強制適用です。記述は「個人事業所」の要件を念頭に置いたものと思われますが、一般的に員数算定には「常時使用される者」が含まれます。しかし、本問の正解はBとされており、Aは「適用除外者を含む」とする点が誤りとされる解釈(被保険者となりうる者が5人以上必要)が一般的です。
この問題は5肢すべてが健康保険法の論点です。残りの肢と解説、2021〜2025年度の過去問350問は社労士過去問クイズアプリで解けます。
※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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パートやアルバイトなら健康保険に入らなくてもよいのでしょうか?