全額事業主負担の保険料とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
全額事業主負担の保険料の定義
全額事業主負担の保険料とは、健康保険法において、本来は被保険者と事業主が半分ずつ負担(労使折半)する健康保険料を、特定の条件下において事業主が全額を負担するものを指します。
具体的には、被保険者が受け取る賞与の額が年度の累計で一定の上限額を超えた場合に、その超過分に対する保険料が該当します。これは、被保険者の保険料負担が過大になることを防ぐとともに、高額な賞与を支払う能力のある事業主に負担を求める趣旨の制度です。
全額事業主負担の保険料のポイント
社労士試験で問われる「全額事業主負担の保険料」のポイントは、主に標準賞与額の上限に関する論点です。しっかり整理して覚えましょう。
原則は「労使折半」
まず大原則として、健康保険料は事業主と被保険者が折半して負担します(健康保険法第161条第1項)。この原則をしっかり押さえた上で、例外となるケースを学習することが重要です。
例外:標準賞与額の年度累計上限超過分
これが「全額事業主負担の保険料」の核心部分です。
- 上限額: 標準賞与額(ひょうじゅんしょうよがく)の年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)の累計額には573万円の上限が設けられています。
- 負担者: この573万円を超える賞与が支払われた場合、その超過額に対する健康保険料・介護保険料は全額事業主の負担となります(健康保険法第45条第1項ただし書き)。
【覚え方のコツ】 「賞与はGOGO!(5)ラッキーセブン(7)で最高(3)!」と覚えて、573万円の上限額をインプットしましょう。
関連知識:産休・育休中の保険料
産前産後休業や育児休業の期間中の保険料は、「全額事業主負担」と混同されやすいですが、正しくは**「被保険者負担分・事業主負担分ともに免除」**となります。 事業主が代わりに負担して納付するわけではなく、保険料の納付義務そのものがなくなる点が大きな違いです。試験ではこの違いが頻繁に問われます。
具体例で理解する全額事業主負担の保険料
【ケーススタディ】 ある社員(45歳・介護保険第2号被保険者)の賞与が以下の通り支払われた場合
- 7月:300万円
- 12月:400万円
1. 年度累計額の計算
- 7月支給時点での累計額:300万円
- 12月支給時点での累計額:300万円 + 400万円 = 700万円
2. 保険料の計算
-
上限までの部分(573万円)
- 7月支給の300万円と、12月支給のうち273万円(573万円 - 300万円)が対象。
- この573万円に対する保険料は、労使折半で負担します。
-
上限超過部分(127万円)
- 年度累計額700万円のうち、上限573万円を超えた127万円が対象です。
- この127万円に対する健康保険料・介護保険料は、全額事業主負担となります。
このように、上限を超えた部分の「保険料」のみが事業主の全額負担となる点を、具体例でしっかりイメージしておきましょう。
試験対策:ひっかけに注意!
社労士試験では、正確な知識を問うために様々な「ひっかけ問題」が出題されます。以下のポイントに注意してください。
-
ひっかけ①:「産休・育休中の保険料は、事業主が全額を負担して納付する」
- → ×(誤り)
- 正しくは、事業主負担分・被保険者負担分ともに**「免除」**されます。 納付義務自体が発生しないという点を明確に区別しましょう。
-
ひっかけ②:「標準賞与額の上限を超えた賞与そのものが、事業主の負担となる」
- → ×(誤り)
- あくまで事業主が全額負担するのは、上限を超えた賞与額に保険料率を乗じた**「保険料」**です。賞与自体は当然、被保険者に支払われます。
-
ひっかけ③:「厚生年金保険料についても、同様に年度累計の上限があり、超過分は全額事業主負担となる」
- → ×(誤り)
- 厚生年金保険の標準賞与額の上限は「1か月あたり150万円」であり、健康保険のような「年度累計」の上限はありません。 この制度は健康保険(および介護保険)に特有のルールです。
よくある質問
Q: なぜ賞与に年度累計の上限が設けられているのですか?
A: 月々の給与(標準報酬月額)に上限が設けられているのと同様に、賞与にも上限を設けることで、保険料負担が際限なく増えることを防ぐ目的があります。 また、高額な賞与を支払う余力のある事業主に、より多くの保険料を負担してもらうことで、医療保険制度の財政の安定化を図るという趣旨も含まれています。
Q: 育児休業中に賞与が支払われた場合、その賞与は標準賞与額の年度累計に含まれますか?
A: はい、含まれます。育児休業期間中に支払われた賞与は、保険料の徴収は免除されますが、標準賞与額としては決定され、年度の累計額(573万円)の計算には含められます。 そのため、育休明けに高額な賞与が支払われた場合、育休中の賞与額によっては上限に達しやすくなる可能性があるため注意が必要です。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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