適用除外とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

適用除外の定義

適用除外(てきようじょがい)とは、労働者を保護するための法律である労働基準法が、原則として国内のすべての事業に適用される中で、特定の事業や労働者に対して、その全部または一部の規定が適用されないことをいいます。

労働基準法第116条第2項では、「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。」と定められています。 これらが「全部適用除外」の代表例です。このほか、船員や公務員のように、他の法律が優先されたり、職務の公共性から一部の規定が適用されなかったりする「一部適用除外」のケースもあります。

適用除外のポイント

社労士試験で問われる適用除外のポイントは、「誰が」「どの範囲で」適用されないのかを正確に区別して覚えることです。

1. 全面的に適用が除外される者(全部適用除外)

労働基準法のすべての規定が適用されないのは、以下の2者です。

  • 同居の親族のみを使用する事業
    • 事業主と生計を同じくする同居の親族だけで運営している事業が該当します。
    • これは、家族間の私的な関係に国の監督が及ぶのは適当でないという考えに基づきます。
  • 家事使用人
    • 個人家庭に直接雇用され、その家の家事全般に従事する人が該当します。
    • これも、個人の家庭内に法の規制や監督が及ぶのは適当でないという理由です。

2. 一部の規定が適用されない者(一部適用除外)

特定の規定のみが適用されないケースも試験では頻出です。

  • 船員(船員法の規定による船員)

    • 労働時間や休日など、多くの規定は労働基準法ではなく「船員法」が優先して適用されます。
    • ただし、労働基準法の「総則」や「罰則」など一部の規定は船員にも適用されます。 「船員は労基法が全く適用されない」という覚え方は間違いなので注意が必要です。
  • 公務員

    • 国家公務員(一般職):原則として労働基準法は適用されず、国家公務員法などが適用されます。 ただし、行政執行法人の職員や、印刷・造幣などの現業職員には全面的に適用されます。
    • 地方公務員(一般職):原則として適用されますが、地方公務員法に特別な定めがある部分(例:職員団体、公務災害補償など)は適用が除外されます。
  • 労働時間・休憩・休日の規定が適用されない者(労基法41条)

    • 以下の労働者には、労働時間、休憩、休日の規定(年次有給休暇を除く)が適用されません。
      1. 農林水産業に従事する者(林業を除く)
      2. **管理監督者**または機密の事務を取り扱う者
      3. 監視・断続的労働従事者で、労働基準監督署長の許可を受けた者

適用除外」― 労基法の過去問、何問解ける?

全問解説付き・無料の社労士過去問アプリ

いますぐ過去問を解くApp Store / Google Play 対応

具体例で理解する適用除外

  • ケース1:個人商店

    • 父が経営する八百屋で、母と息子の3人(全員同居)だけで働いている場合
      • → 「同居の親族のみを使用する事業」に該当し、労働基準法は適用されません。
  • ケース2:家事代行サービス

    • Aさんが家事代行サービス会社に雇用され、指示を受けて顧客Bさんの家で掃除や料理をする場合
      • → Aさんは家事代行サービス会社の「労働者」であり、「家事使用人」には該当しません。したがって、Aさんには労働基準法が全面的に適用されます。
  • ケース3:農家

    • Cさんが経営する農家で働く従業員Dさん
      • → Dさんには、労働時間、休憩、休日の規定は適用されません。ただし、深夜業の割増賃金や年次有給休暇の規定は適用されます。

試験対策:ひっかけに注意!

  • ひっかけ1:「同居の親族」の範囲

    • 「同居の親族のみ」がポイントです。もし、この八百屋がアルバイトを1人でも雇った場合、その瞬間から事業全体に労働基準法が適用されます。 ただし、この場合でも、他の労働者と明確に区別されている同居の親族は、原則として労働者とは扱われません。
  • ひっかけ2:「家事使用人」の定義

    • 前述の通り、家事代行サービス会社に雇用されている場合は「家事使用人」ではありません。 あくまで個人家庭に直接雇用されていることが要件です。この違いは頻繁に問われます。
  • ひっかけ3:「管理監督者」の深夜業

    • 労働基準法第41条で適用除外となる管理監督者ですが、「深夜業の割増賃金」の規定は適用されます。 「時間に関する規定はすべて除外」と誤解しないようにしましょう。

ここまでの知識、過去問で試してみませんか?

読んだ内容がそのまま出題されます。解説付きで理解度を確認できます。

よくある質問

Q: 個人事業主の父の店を手伝っています。労働基準法は適用されますか?

A: お父様と生計を同じくする同居の親族で、他に親族以外の従業員が一人もいなければ、「同居の親族のみを使用する事業」として労働基準法は適用されません。 しかし、一人でもアルバイトなどを雇った場合は、その事業所全体が労働基準法の適用事業所となります。

Q: 家事代行サービス会社に登録して働いています。私は「家事使用人」として適用除外になりますか?

A: いいえ、なりません。あなたは家事代行サービス会社に雇用され、その会社の指揮命令を受けて働く「労働者」ですので、労働基準法が全面的に適用されます。 適用除外となる「家事使用人」とは、個人家庭に直接雇用され、その家庭の指揮命令下で働く場合を指します。

この用語に関連する過去問に挑戦

この用語の理解度をチェックしましょう。社労士過去問クイズアプリで関連する過去問を解くことができます。

過去問に挑戦する


※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

適用除外」の理解度をチェック

社労士過去問クイズ 2026

社労士過去問クイズ 2026 - AI解説機能のアプリ画面
腕試しこの用語から出題

個人事業主の父の店を手伝っています。労働基準法は適用されますか?

労働基準法だけで120問以上
全問解説付き・完全無料
2026年試験対応

公開日: 2026/3/3 / 更新日: 2026/4/24

労働基準法の他の記事

労働基準法と公務員の適用関係を解説

労働基準法と公務員(ろうどうきじゅんほうとこうむいん)とは、労働者の権利を保護するための最低基準を定めた労働基準法がある制度です。「そもそも労働基準法は公務員に適用されるの?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。この違いは、それぞれの根拠となる法律や職務の性質が異なるためでありを解説します。

年俸制とは?割増賃金の支払義務と賃金支払い5原則との関係を解説

年俸制(ねんぽうせい)とは、賃金の額を1年単位で決定する賃金形態のことです。労働者の成果や業績を評価し、翌年度の賃金額を決定する制度で、能力給や業績給の性格が強い賃金制度といえます。試験で問われる年俸制のポイントは、労働基準法の基本原則といかに結びつけて理解できるかにかかっています。

労働契約の期間とは?上限3年の原則と5年の例外を条文付きで解説

労働契約の期間とは、労働者と使用者の間で結ばれる労働契約において、その契約が存続する期間のことです。労働基準法第14条第1項では、労働者の保護を目的として、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)について、その上限を原則として3年と定めています。

災害補償とは?労基法75〜88条の7種類の補償と労災保険との関係

災害補償とは、労働者が業務に起因して負傷、疾病、障害、または死亡した場合(業務災害)に、使用者(会社)がその労働者や遺族に対して行うべき補償のことです。この制度は労働基準法第8章(第75条~第88条)に定められており、使用者の過失の有無にかかわらず補償責任を負う「無過失責任」が原則であることが最大の特徴です。

労働時間の適用除外(労基法41条)とは?対象者3類型と除外されない規定

労働基準法第41条で定められている「労働時間の適用除外」とは、特定の業務に従事する労働者について、労働時間、休憩、休日に関する規定を適用しないとする制度のことです。条文では、「この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定はを解説します。

付加金とは?労働基準法114条のポイントを徹底解説

付加金(ふかきん)とは、使用者が労働基準法の一部の条項に違反した場合に、労働者の請求によって、裁判所が使用者に対して支給される給付です。この制度は、悪質な法令違反を行った使用者に対する制裁的な意味合いを持ち、義務の履行を促すことを目的としています。

最低基準効果とは?労働基準法13条の効力を徹底解説

最低基準効果(さいていきじゅんこうか)とは、労働基準法で定める労働条件の最低基準に達しない労働契約を、その部分について無効としです。この効力は、労働基準法第13条に定められています。この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。

試用期間とは?解約権留保付労働契約の意味と本採用拒否の適法性

試用期間とは、本採用の前に、労働者の能力や勤務態度、業務への適性などを評価・判断するために設けられる期間のことです。労働基準法に「試用期間」を直接定義した条文はありませんが、判例によってその法的な性質が確立されています。そのため、試用期間満了時に本採用を拒否すること(本採用拒否)は「解雇」にあたります。

他の科目で学ぶ