適用事業所(厚年)とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
厚生年金保険法における適用事業所とは、厚生年金保険の加入が法律上義務付けられている事業所(強制適用事業所)、または任意で加入している事業所(任意適用事業所)のことを指します。 社労士試験では、どのような事業所がどちらに該当するのか、その要件を正確に理解しておくことが極めて重要です。
適用事業所(厚年)の定義
厚生年金保険法では、適用事業所を「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類に分けて定義しています。
1. 強制適用事業所(厚生年金保険法第6条第1項) 事業主や従業員の意思にかかわらず、法律上、当然に厚生年金保険の適用を受ける事業所です。 具体的には、以下のいずれかに該当する事業所を指します。
- 常時従業員を使用する法人の事業所 株式会社や合同会社などの法人は、従業員が社長1人であっても強制適用事業所となります。
- 常時5人以上の従業員を使用する個人の事業所(一部の事業を除く)
個人事業所の場合、「常時5人以上の従業員」がいて、かつ法律で定められた事業(法定16業種+士業)を行っている場合に強制適用となります。
- 対象となる主な事業(法定16業種など):製造業、土木建築業、鉱業、運輸業、物品販売業、金融保険業、医療事業など。
- 対象外となる主な事業:農林漁業、飲食店、理容・美容業、旅館業などのサービス業。 これらの事業を営む個人事業所は、従業員が5人以上いても強制適用にはなりません。
2. 任意適用事業所(厚生年金保険法第6条第3項) 強制適用事業所以外の事業所が、一定の手続きを経て厚生年金保険の適用を受ける事業所です。 強制適用とならない個人事業所(例:従業員4人以下の個人事業所、従業員5人以上でも法定16業種に該当しない個人事業所)が対象となります。
任意適用事業所になるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- その事業所に使用される従業員の半数以上の同意があること
- 事業主が申請すること
- 厚生労働大臣の認可を受けること
適用事業所(厚年)のポイント
社労士試験で得点するために押さえるべき重要ポイントをまとめました。
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法人は「人数・業種を問わず」強制適用! 「法人」というだけで、たとえ社長1人でも強制適用です。 「株式会社だが従業員は3人」といったケースでも強制適用となります。
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個人事業所は「常時5人以上」かつ「法定業種」がカギ! 個人事業所の場合は、①常時5人以上の従業員、②法定16業種+士業、という2つの条件を両方満たす必要があります。 どちらか一方でも欠ければ強制適用にはなりません。特に、農林水産業やサービス業(飲食店、理美容業など)は対象外である点をしっかり覚えましょう。
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短時間労働者への適用拡大 近年、法改正によりパート・アルバイトなど短時間労働者への社会保険の適用が拡大されています。2024年10月からは、厚生年金保険の被保険者数が常時51人以上の企業(特定適用事業所)で働く短時間労働者も、一定の要件を満たせば被保険者となります。 2026年度試験ではこの基準を覚えておく必要があります。
- 短時間労働者の主な加入要件
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではないこと
- 短時間労働者の主な加入要件
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任意適用の「加入」と「脱退」の同意要件の違い 任意適用事業所になるには「従業員の半数以上」の同意が必要ですが、一度任意適用事業所になった後に脱退(任意適用取消)するには、より厳しい「従業員の4分の3以上」の同意が必要となります。 この数字の違いは試験で狙われやすいポイントです。
具体例で理解する適用事業所(厚年)
| 事業所の状況 | 適用区分 | 解説 | | :--- | :--- | :--- | | 従業員2名の株式会社 | 強制適用 | 法人であるため、人数や業種に関わらず強制適用となります。 | | 従業員10名の個人経営のラーメン店 | 任意適用 | 従業員は5人以上ですが、飲食業は法定16業種に該当しないため、強制適用にはなりません。 | | 従業員6名の個人経営の建設事務所 | 強制適用 | 「常時5人以上」かつ「建設業(法定16業種)」の要件を満たすため、強制適用となります。 | | 従業員4名の個人経営の社労士事務所 | 任意適用 | 士業は強制適用の対象業種ですが、従業員が「常時5人未満」であるため、強制適用にはなりません。 |
試験対策:ひっかけに注意!
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健康保険法との違い 適用事業所の範囲は、健康保険法と厚生年金保険法でほぼ同じですが、一部相違点があります。例えば、船員保険の強制被保険者が使用される船舶は、健康保険では適用事業所とみなされませんが、厚生年金保険ではそのような除外規定はありません。細かい点ですが、選択式で問われる可能性があります。
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「常時使用する従業員」の数え方 「常時5人」をカウントする際、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトなども含めて判断します。雇用形態で判断するわけではない点に注意が必要です。
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任意適用事業所の加入義務 任意適用の認可を受けると、その事業所は強制適用事業所とみなされます。 そのため、加入に同意しなかった従業員も含め、被保険者要件を満たす従業員は全員、厚生年金保険に加入する義務が生じます。
よくある質問
Q: 社長1人だけの合同会社を設立しました。厚生年金保険に加入する必要はありますか?
A: はい、加入する必要があります。合同会社は法人ですので、従業員が社長1人だけであっても強制適用事業所となります。
Q: 個人事業で美容室を経営しており、従業員は10人です。強制適用の対象になりますか?
A: いいえ、強制適用の対象にはなりません。美容業は法定16業種に含まれないサービス業のため、個人事業の場合は従業員数にかかわらず強制適用事業所とはなりません。 ただし、従業員の半数以上の同意を得て、厚生労働大臣の認可を受ければ、任意適用事業所として加入することは可能です。
Q: 2026年度の試験において、短時間労働者の適用拡大における企業規模の要件はどのように覚えればよいですか?
A: 2024年10月の改正により、「厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業」が対象となっています。 2026年度試験対策としては、この「51人以上」という基準を正確に覚えておくことが重要です。今後の法改正でさらに要件が緩和される予定ですが、試験対策上は試験日時点の法令で解答する必要があります。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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