付加金とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

付加金の定義

付加金(ふかきん)とは、使用者が労働基準法の一部の条項に違反した場合に、労働者の請求によって、裁判所が使用者に対して、支払われるべきであった未払金と同一額を上限として、追加で支払いを命じることができる金銭のことです。

根拠条文は労働基準法第114条に定められています。 この制度は、悪質な法令違反を行った使用者に対する制裁的な意味合いを持ち、義務の履行を促すことを目的としています。

付加金のポイント

社労士試験で付加金を理解するためには、以下のポイントを正確に押さえることが重要です。

1. 裁判所の命令によってのみ発生

付加金の支払義務は、使用者の法違反によって自動的に発生するものではありません。 労働者が裁判所に請求し、裁判所が支払いを命じる判決を下し、その判決が確定したときに初めて発生します。 したがって、労働基準監督署の是正勧告や、当事者間の話し合い(示談交渉)、労働審判で支払いが命じられるものではないという点が、試験で頻出のひっかけポイントです。

2. 対象となる4つの違反

付加金の支払いが命じられる可能性があるのは、以下の4つの手当・賃金の未払いに限られます。

【覚え方のコツ】解雇んで割増し、有給とって付加金だ!」という語呂合わせで、4つの対象を覚えましょう。

3. 金額は未払金と同額が上限

裁判所が命じることができる付加金の額は、未払いの解雇予告手当や割増賃金などの額と「同一額」が上限です。 必ずしも同額が命じられるわけではなく、違反の悪質性や労働者が受けた不利益の程度など、諸般の事情を考慮して裁判官の裁量で金額が決定されます。

4. 請求できる期間

付加金を請求できる期間は、法改正により「違反のあった時から5年」とされています。 ただし、経過措置として「当分の間は3年」となっています。 2020年4月1日に施行された改正労働基準法による変更点で、賃金請求権の消滅時効期間と合わせて問われやすい重要ポイントです。 それ以前の「2年」という古い知識と混同しないように注意が必要です。

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具体例で理解する付加金

例えば、ある労働者が会社に対して、未払いの残業代(割増賃金)が100万円あるとして、支払いを求める訴訟を提起したとします。

  1. 労働者は訴訟の中で、未払残業代100万円の支払いに加え、付加金100万円の支払いも請求します。
  2. 裁判所は審理の結果、会社の残業代未払いが悪質であると判断しました。
  3. 裁判所は会社に対し、未払残業代100万円に加えて、付加金として100万円(未払金と同額)の支払いを命じる判決を下しました。
  4. この場合、会社は合計で200万円を労働者に支払う義務を負うことになります。

このように、付加金は使用者にとって大きな経済的負担となる可能性がある制度です。

試験対策:ひっかけに注意!

  • 自動発生の罠:「使用者が割増賃金を支払わなかった場合、当然に同額の付加金を支払わなければならない」という問題は誤りです。労働者の請求に基づき、裁判所が命令して初めて支払義務が発生します。
  • 対象外の賃金:「退職手当」や「賞与(ボーナス)」の未払いは、付加金の対象とはなりません。 あくまで前述の4つのケースに限定されます。
  • 遅延損害金との混同:付加金は「制裁」であるのに対し、遅延損害金は支払いが遅れたことによる「損害賠償」です。 性質が全く異なります。なお、付加金の支払いを命じる判決が確定したにもかかわらず使用者が支払わない場合、その付加金に対して遅延損害金が発生することはあります。
  • 請求期間の性質:付加金の請求期間は「除斥期間」と解されており、時効のように中断や更新がありません。 期間内に訴えを提起する必要があります。

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よくある質問

Q: 付加金は、必ず未払金と同額が命じられるのですか?

A: いいえ、必ずしも同額ではありません。 裁判所が違反の程度や労働者の不利益などを総合的に考慮して金額を決定するため、未払金額の範囲内で減額されることもあります。 「未払金と同一額」は、あくまで上限です。

Q: 会社が裁判の途中で未払金を支払った場合、付加金はどうなりますか?

A: 裁判所が付加金の支払いを命じる判決を下す前(正確には事実審の口頭弁論終結時まで)に、使用者が未払金を完済した場合、付加金の支払い義務の基礎となる違反状態が解消されたとして、裁判所は付加金の支払いを命じることができなくなります。

Q: 会社が倒産した場合、付加金は未払賃金立替払制度の対象になりますか?

A: いいえ、対象になりません。付加金は労働の対償である「賃金」ではなく、制裁金としての性格を持つため、未払賃金立替払制度の対象外です。

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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/3/3 / 更新日: 2026/4/24

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