試用期間とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

試用期間の定義

試用期間とは、本採用の前に、労働者の能力や勤務態度、業務への適性などを評価・判断するために設けられる期間のことです。

労働基準法に「試用期間」を直接定義した条文はありませんが、判例によってその法的な性質が確立されています。最高裁判所の判例(三菱樹脂事件)では、試用期間中の労働契約は「解約権留保付労働契約(かいやくけんりゅうほつきろうどうけいやく)」であるとされています。

これは、試用期間の開始と同時に労働契約は成立しているものの、企業側(使用者)が、試用期間中に労働者が不適格であると判断した場合に、その労働契約を解約できる権利(解約権)を留保している状態を指します。 そのため、試用期間満了時に本採用を拒否すること(本採用拒否)は「解雇」にあたります。

試用期間のポイント

社労士試験で問われる試用期間の重要ポイントは以下の通りです。

1. 法的性質は「解約権留保付労働契約」

最も重要なポイントです。試用期間は「お試し期間」という軽いイメージがありますが、法的には労働契約が成立しています。 したがって、本採用拒否は「解雇」として扱われ、労働契約法第16条の「解雇権濫用法理(かいこけんらんようほうり)」が類推適用されます。

つまり、本採用を拒否するには、「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当」であると認められなければならず、企業が自由に解雇できるわけではありません。 ただし、通常の解雇よりは広い範囲で解雇の自由が認められると解されています。

2. 期間の長さ

試用期間の長さに法律上の上限はありませんが、あまりに長すぎる期間は公序良俗(こうじょりょうぞく)に反し無効とされる可能性があります。 一般的には3ヶ月から6ヶ月程度が妥当とされています。

試用期間の延長は、就業規則に延長の可能性がある旨が規定されており、かつ延長することに合理的な理由がある場合に限り認められます。

3. 解雇予告(労働基準法第21条)

試用期間中の労働者であっても、14日を超えて引き続き使用された場合には、解雇予告の規定(労働基準法第20条)が適用されます。 つまり、解雇する際には原則として30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金解雇予告手当)を支払う必要があります。

逆に言えば、試用開始から14日以内であれば、解雇予告も解雇予告手当も不要です。 この「14日」という数字は試験で頻出のため、必ず覚えましょう。

【覚え方のコツ】 「試用期間、**いーよ(14)**過ぎたら解雇予告」と覚えましょう。

試用期間」― 労基法の過去問、何問解ける?

全問解説付き・無料の社労士過去問アプリ

いますぐ過去問を解くApp Store / Google Play 対応

具体例で理解する試用期間

【ケース1】入社10日目のAさん プログラマーとして採用されたAさん。しかし、採用面接での自己申告とは異なり、基本的なPC操作もおぼつかず、業務指示にも全く応じないため、会社は10日目に解雇を言い渡した。

  • 解説: 試用開始から14日以内のため、労働基準法第21条に基づき、解雇予告や解雇予告手当の支払いは不要です。 ただし、解雇自体が有効かどうかは別途、客観的に合理的な理由と社会的相当性があるかで判断されます。

【ケース2】入社1ヶ月後のBさん 営業職として採用されたBさん。無断欠勤を繰り返し、勤務態度が著しく不良であるため、会社は入社1ヶ月後に解雇を言い渡した。

  • 解説: 試用開始から14日を超えているため、会社は30日前に解雇を予告するか、30日分以上の解雇予告手当を支払う義務があります。

【ケース3】試用期間3ヶ月満了時のCさん 事務職として採用されたCさん。試用期間中、会社は必要な指導や教育を行ったが、業務上必要な能力が著しく不足しており、改善の見込みがないと判断し、3ヶ月の試用期間満了をもって本採用を拒否した。

  • 解説: 本採用拒否は「解雇」にあたります。 会社側がCさんの能力不足を客観的な証拠(指導記録など)で示し、それが社会通念上、本採用を拒否するのに相当であると認められれば、この解雇は有効となる可能性が高いです。

試験対策:ひっかけに注意!

  • 【×】試用期間中は自由に解雇できる。

    • 【〇】 解雇には客観的に合理的な理由と社会的相当性が必要です。 通常の解雇よりは広く認められますが、無制限ではありません。
  • 【×】試用期間中の解雇は、常に解雇予告が不要である。

    • 【〇】 14日を超えて使用した場合は、解雇予告または解雇予告手当が必要です。 「14日」という数字を正確に記憶しましょう。
  • 【×】試用期間は労働契約ではない。

    • 【〇】 試用期間の開始日から「解約権留保付労働契約」という労働契約が成立しています。
  • 【×】試用期間中は社会保険に加入しなくてよい。

    • 【〇】 試用期間中であっても、労働時間などの加入要件を満たせば、健康保険、厚生年金保険、雇用保険への加入義務があります。

ここまでの知識、過去問で試してみませんか?

読んだ内容がそのまま出題されます。解説付きで理解度を確認できます。

よくある質問

Q: 試用期間の長さに法律上の上限はありますか?

A: 法律で明確な上限は定められていません。しかし、労働者の地位を不当に不安定にさせるような長すぎる試用期間は、公序良俗に反して無効と判断される可能性があります。 職務内容に照らして、労働者の適性を評価・判断するために必要な、合理的な期間であることが求められます。

Q: 試用期間中の給与を、本採用後より低く設定することはできますか?

A: はい、可能です。ただし、その場合は労働契約や就業規則にその旨を明記し、労働者の同意を得ておく必要があります。また、最低賃金を下回ることは許されません。詳細は最新の法令を確認してください。

この用語に関連する過去問に挑戦

この用語の理解度をチェックしましょう。社労士過去問クイズアプリで関連する過去問を解くことができます。

過去問に挑戦する


※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

試用期間」の理解度をチェック

社労士過去問クイズ 2026

社労士過去問クイズ 2026 - AI解説機能のアプリ画面
腕試しこの用語から出題

試用期間の長さに法律上の上限はありますか?

労働基準法だけで120問以上
全問解説付き・完全無料
2026年試験対応

公開日: 2026/3/3 / 更新日: 2026/4/24

労働基準法の他の記事

労働基準法と公務員の適用関係を解説

労働基準法と公務員(ろうどうきじゅんほうとこうむいん)とは、労働者の権利を保護するための最低基準を定めた労働基準法がある制度です。「そもそも労働基準法は公務員に適用されるの?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。この違いは、それぞれの根拠となる法律や職務の性質が異なるためでありを解説します。

年俸制とは?割増賃金の支払義務と賃金支払い5原則との関係を解説

年俸制(ねんぽうせい)とは、賃金の額を1年単位で決定する賃金形態のことです。労働者の成果や業績を評価し、翌年度の賃金額を決定する制度で、能力給や業績給の性格が強い賃金制度といえます。試験で問われる年俸制のポイントは、労働基準法の基本原則といかに結びつけて理解できるかにかかっています。

労働契約の期間とは?上限3年の原則と5年の例外を条文付きで解説

労働契約の期間とは、労働者と使用者の間で結ばれる労働契約において、その契約が存続する期間のことです。労働基準法第14条第1項では、労働者の保護を目的として、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)について、その上限を原則として3年と定めています。

災害補償とは?労基法75〜88条の7種類の補償と労災保険との関係

災害補償とは、労働者が業務に起因して負傷、疾病、障害、または死亡した場合(業務災害)に、使用者(会社)がその労働者や遺族に対して行うべき補償のことです。この制度は労働基準法第8章(第75条~第88条)に定められており、使用者の過失の有無にかかわらず補償責任を負う「無過失責任」が原則であることが最大の特徴です。

労働時間の適用除外(労基法41条)とは?対象者3類型と除外されない規定

労働基準法第41条で定められている「労働時間の適用除外」とは、特定の業務に従事する労働者について、労働時間、休憩、休日に関する規定を適用しないとする制度のことです。条文では、「この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定はを解説します。

付加金とは?労働基準法114条のポイントを徹底解説

付加金(ふかきん)とは、使用者が労働基準法の一部の条項に違反した場合に、労働者の請求によって、裁判所が使用者に対して支給される給付です。この制度は、悪質な法令違反を行った使用者に対する制裁的な意味合いを持ち、義務の履行を促すことを目的としています。

最低基準効果とは?労働基準法13条の効力を徹底解説

最低基準効果(さいていきじゅんこうか)とは、労働基準法で定める労働条件の最低基準に達しない労働契約を、その部分について無効としです。この効力は、労働基準法第13条に定められています。この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。

適用除外とは?該当する人と事業一覧

適用除外(てきようじょがい)とは、労働者を保護するための法律である労働基準法が、原則として国内のすべての事業に適用される中で、特定の事業や労働者に対して支給される給付です。労働基準法第116条第2項では、「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。

他の科目で学ぶ