安全配慮義務とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

安全配慮義務の定義

安全配慮義務とは、使用者が労働契約に伴い、労働者が生命や身体の安全を確保しながら働けるように、必要な配慮をする義務のことです。

この義務は、もともと判例によって確立された考え方でしたが、2008年に施行された労働契約法第5条で明文化されました。

【労働契約法 第5条(労働者の安全への配慮)】 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

条文にある「生命、身体等の安全」には、怪我などの物理的な安全だけでなく、心の健康(メンタルヘルス)も含まれると解釈されています。

安全配慮義務のポイント

社労士試験で問われる安全配慮義務のポイントは以下の通りです。

  • 労働契約上の付随義務であること 特別な定めがなくても、労働契約を結んでいる使用者には当然に発生する義務です。 違反した場合、使用者は労働契約上の債務不履行(さいむふりこう)責任(民法415条)を問われ、労働者から損害賠償を請求される可能性があります。

  • 義務の範囲は物理的な安全から心の健康まで幅広い 職場の機械設備の安全対策や、有害物質からの保護といった物理的な安全確保はもちろんのこと、長時間労働の是正、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの防止、メンタルヘルス不調者への対応なども義務の内容に含まれます。

  • 「予見可能性」と「結果回避可能性」が判断基準 安全配慮義務違反が問われるのは、主に以下の2つの要件を満たす場合です。

    1. 予見可能性:使用者(会社)が、労働者に心身の危険が生じる可能性を予見できたこと。
    2. 結果回避可能性:その危険を回避するための具体的な措置を講じることができたこと。
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具体例で理解する安全配慮義務

安全配慮義務が具体的にどのような場面で問題となるか、例を見ていきましょう。

  • 物理的な職場環境の整備

    • 工場の機械に安全カバーを設置し、定期的なメンテナンスを行う。
    • 建設現場で、作業員にヘルメットや安全帯の着用を徹底させる。
    • 事務所の床が濡れていて滑りやすい状態を放置せず、清掃や注意喚起を行う。
  • 労働者の健康管理

    • 長時間労働が続く従業員に対し、医師による面接指導を実施する。
    • 法律で定められた健康診断を適切に実施し、結果に基づいて必要な措置(就業場所の変更、労働時間の短縮など)を講じる。
    • ハラスメント相談窓口を設置し、相談があった場合に迅速かつ適切に対応する。
  • 多様な働き方への配慮

    • 海外出張者に対し、現地の治安情報を提供し、安全な宿泊施設を手配する。
    • 在宅勤務(テレワーク)を行う労働者について、長時間労働にならないよう勤怠管理を適切に行い、心身の不調について相談できる体制を整える。

試験対策:ひっかけに注意!

  • 労働安全衛生法との違い 労働安全衛生法は、国が事業者に対して具体的な措置を命じる「公法上」の義務を定めた法律です。違反すると罰則が科される場合があります。 一方、安全配慮義務は、労働契約に基づく「私法上」の義務であり、直接的な罰則規定はありません。 しかし、義務違反により労働者に損害が生じた場合、民事上の損害賠償責任が発生します。 労働安全衛生法で定められた最低基準を守っていても、個別の状況に応じて安全配慮義務違反が問われることがあるため注意が必要です。

  • 使用者責任との違い 使用者責任(民法715条)は、ある労働者(加害者)が、業務中に他の労働者や第三者(被害者)に損害を与えた場合に、使用者が被害者に対して負う賠償責任です。 これは不法行為責任の一種です。一方、安全配慮義務違反は、使用者自身の労働契約上の義務違反であり、債務不履行責任が問われます。 責任の発生根拠が異なる点を押さえておきましょう。

  • 過失相殺(かしつそうさい) 労働災害の発生に労働者自身の不注意(過失)があったとしても、使用者の安全配慮義務がすべて免除されるわけではありません。労働者の過失の程度に応じて、損害賠償額が減額(相殺)されることがあります。

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よくある質問

Q: 安全配慮義務は、正社員だけでなくパートタイマーや派遣社員にも適用されますか?

A: はい、適用されます。安全配慮義務は、雇用形態にかかわらず、使用者の指揮命令下で働くすべての労働者が対象となります。 また、派遣労働者については、派遣元だけでなく、実際に指揮命令を行う派遣先の企業も安全配慮義務を負うと考えられています。

Q: 在宅勤務(テレワーク)では、使用者はどこまで配慮すればよいのですか?

A: 在宅勤務であっても、使用者は安全配慮義務を負います。 ただし、使用者が直接管理できない自宅等の作業環境については、オフィス勤務と同等の義務を負うわけではありません。厚生労働省のガイドラインでは、労働者が安全で衛生的な環境で作業できるよう、チェックリストの活用を促したり、情報通信機器の適切な使用方法について教育したりすることが求められています。 また、長時間労働の防止や、孤独感からくるメンタル不調への対策として、コミュニケーションの機会を設けるなどの配慮も重要です。

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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/3/19 / 更新日: 2026/3/26

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