職業安定法とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

職業安定法の定義

職業安定法(しょくぎょうあんていほう)とは、一言でいえば**「労働市場におけるルールを定めた法律」**です。

目的条文である第1条では、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)と相まって、公共に奉仕する公共職業安定所(ハローワーク)等が、各人にその有する能力に適合する職業に就く機会を与え、及び産業に必要な労働力を充足し、もつて職業の安定を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与すること」を目的とすると定められています。

社労士試験対策上、「雇用の安定」ではなく**「職業の安定」**という文言が使われている点を押さえておきましょう。

職業安定法のポイント

社労士試験で問われる職業安定法のポイントは多岐にわたりますが、特に重要なのは以下の3つの規律です。

  1. 職業紹介
  2. 労働者の募集
  3. 労働者供給事業

これらの定義と違いを正確に理解することが、得点への近道です。

項目概要規制具体例
職業紹介求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんすること。有料:厚生労働大臣の許可が必要<br>無料:原則として厚生労働大臣の許可が必要(一部、届出で可)・ハローワーク<br>・民間の人材紹介会社
労働者の募集労働者を雇用しようとする者が、自らまたは他人に委託して、被用者となるよう勧誘すること。直接募集:自由<br>委託募集:厚生労働大臣の許可が必要(報酬を与えない場合は届出)・自社サイトでの求人<br>・求人広告代理店への委託
労働者供給事業供給契約に基づき、労働者を他人の指揮命令下で労働させること(労働者派遣を除く)。原則禁止(労働組合等が無料で行う場合に限り、厚生労働大臣の許可を得て可能)(禁止例)A社が雇用する労働者を、B社の工場でB社の指示のもと働かせる契約を結ぶこと。

【覚え方のコツ】 「職業紹介」と「労働者募集」は、求職者と企業の間に雇用関係が成立する前の段階を規律するのに対し、「労働者供給事業」は、供給元と労働者の間に雇用関係がある状態で他社に供給する点が大きな違いです。特に、労働者供給事業は中間搾取の温床となりやすいため、労働者派遣法で認められる場合を除き、厳しく禁止されていると覚えましょう。

近年の法改正と重要論点

2026年度の試験に向けて、近年の法改正点も押さえておく必要があります。

  • 求人情報の的確な表示(2022年改正): 虚偽の表示や誤解を生じさせる表示の禁止が強化されました。
  • 労働条件の明示事項の追加(2024年4月施行): 求人時には、従事すべき業務の変更の範囲や就業場所の変更の範囲などを明示することが義務化されました。
  • 募集情報等提供事業に関するルール整備(2022年改正): 求人サイトや求人検索エンジンなど、職業紹介にはあたらない「募集情報等提供事業」に関するルールが整備され、個人情報を収集して提供する「特定募集情報等提供事業者」には届出が義務付けられました。
  • 求人不受理の範囲拡大: 一定の労働関係法令に違反した企業からの求人を、ハローワークや職業紹介事業者が受理しないことができる「求人不受理」の対象が拡大されています。

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具体例で理解する職業安定法

ケース1:転職エージェントの利用 求職者のAさんが転職エージェント(有料職業紹介事業者)に登録し、キャリア相談を経てB社を紹介され、無事内定を得た。この転職エージェントの行為は「職業紹介」にあたり、厚生労働大臣の許可が必要です。

ケース2:求人サイトでの応募 Cさんが大手求人サイトでD社の求人を見つけ、サイト経由で直接D社に応募した。この求人サイトは、求人情報を提供しているだけで、CさんとD社の間のやり取りを仲介(あっせん)していなければ「募集情報等提供事業」に該当します。

ケース3:違法な労働者供給 E社の社長が、知人のF社長に「うちの従業員を何人か、F社の現場でF社の指示で働かせてあげるよ」と持ちかけた。これは労働者派遣法の許可なく行えば、違法な「労働者供給事業」となり、厳しい罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)の対象となります。

試験対策:ひっかけに注意!

  • 労働者供給事業 vs 労働者派遣事業 最も混同しやすく、試験で狙われるポイントです。どちらも「他人の指揮命令下で労働する」点は共通ですが、労働者供給事業は職業安定法で原則禁止労働者派遣事業は労働者派遣法に基づき許可制で適法という決定的な違いがあります。 指揮命令権の所在と雇用関係を正確に図でイメージできるようにしておきましょう。

  • 職業紹介 vs 募集情報等提供 求人サイトが典型例です。単に情報を提供するだけでなく、サイト運営者が求職者と求人者の間に介在して、応募を勧めたり、面接日程の調整を行ったりすると「職業紹介」とみなされ、許可が必要になる場合があります。 この線引きは重要なポイントです。

  • 求人申込みの不受理 ハローワーク等は、法令違反の求人など一定の場合に求人申込みを「受理しないことができる」とされています。 「受理してはならない」という義務ではない点を、選択肢問題で問われる可能性があります。

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よくある質問

Q: なぜ「労働者供給事業」は原則として禁止されているのですか?

A: 過去に、労働者の賃金が中間業者によって不当に搾取されたり(中間搾取)、労働者が強制的に働かされたりする温床となった歴史的経緯があるためです。 労働者を保護する観点から、職業安定法で厳しく禁止されています。

Q: 求人サイトや求人雑誌は「職業紹介」にあたりますか?

A: いいえ、通常は「募集情報等提供事業」に該当します。 求人情報を掲載するだけで、求職者と求人企業の間の雇用契約成立をあっせんする行為(例:面接日程の調整、条件交渉の仲介など)を行わない場合は、職業紹介にはあたりません。

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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/3/23 / 更新日: 2026/4/24

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