労働施策総合推進法とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

労働施策総合推進法の定義

労働施策総合推進法(ろうどうしさくそうごうすいしんほう)とは、国が経済社会情勢の変化に対応し、労働に関する必要な施策を総合的に講じることで、労働者の職業の安定と経済的・社会的地位の向上を図り、経済・社会の発展と完全雇用の達成を目指すことを目的とした法律です。 正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」と非常に長いですが、2018年に旧「雇用対策法」から名称が変更されました。

この法律は、個別の労働問題を解決するだけでなく、パワハラ防止対策の義務化など、時代の変化に合わせた幅広い内容を含んでおり、通称「パワハラ防止法」とも呼ばれています。

労働施策総合推進法のポイント

社労士試験では、特に近年の法改正点が頻繁に出題されます。以下の3つのポイントは必ず押さえましょう。

1. パワーハラスメント対策の義務化

2019年の改正により、事業主に対して職場におけるパワーハラスメント(以下、パワハラ)を防止するための雇用管理上の措置を講じることが義務付けられました。 当初、中小企業は努力義務でしたが、2022年4月からはすべての事業主が対象となっています。

事業主が講ずべき措置の具体例は以下の通りです。

  • 事業主の方針等の明確化と周知・啓発: 職場におけるパワハラの内容や、行ってはならない旨の方針を就業規則等に定め、労働者に周知・啓発すること。
  • 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備: 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。
  • 職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応: 事実関係を迅速かつ正確に確認し、被害者に対する配慮の措置や行為者に対する措置を適正に行うこと。
  • プライバシーの保護と不利益取扱いの禁止: 相談者や行為者等のプライバシーを保護し、相談したこと等を理由とする解雇その他の不利益な取扱いをされない旨を定め、周知・啓発すること。

さらに、2025年の改正法により、2026年施行予定で、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)対策も事業主の義務(努力義務から強化)となるなど、ハラスメント対策は年々強化されています。

2. 募集・採用における年齢制限の原則禁止

労働者の募集・採用にあたり、年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないと定められています。 つまり、「35歳まで」といった年齢制限を設けることは原則としてできません。

ただし、以下の例外事由に該当する場合は年齢制限が認められています。社労士試験では、この例外事由が問われやすいため、正確に覚えておきましょう。

  • 定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
  • 労働基準法等の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
  • 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
  • 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
  • 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合
  • 60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象となる者に限定して募集・採用する場合

3. 中途採用比率の公表義務

2021年4月から、労働者の主体的なキャリア形成や再チャレンジを促進するため、常時雇用する労働者数が301人以上の大企業に対し、正規雇用労働者の中途採用比率を公表することが義務付けられました。 公表は、おおむね年に1回、インターネットの利用など、求職者が容易に閲覧できる方法で行う必要があります。

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具体例で理解する労働施策総合推進法

  • ケース1:パワハラ相談 A社の従業員Bさんは、上司Cから日常的に人格を否定するような暴言を受けている。Bさんは会社の相談窓口に相談。会社は事実関係を調査し、パワハラを認定。就業規則に基づき上司Cを懲戒処分とし、Bさんの部署異動希望に応じて配置転換を行った。

  • ケース2:求人広告 「営業職募集(25歳~35歳の方)」という求人広告は、原則として違法です。例外事由に該当しない限り、年齢制限を設けることはできません。

  • ケース3:中途採用比率の公表 従業員500人のD社は、自社のウェブサイトの採用ページに「直近3事業年度の各年度について、採用した正規雇用労働者の中途採用比率」として、「2023年度: 30%、2024年度: 35%、2025年度: 40%」と公表した。

試験対策:ひっかけに注意!

  • 法律名の混同: 旧「雇用対策法」からの名称変更をしっかり覚えましょう。 選択式問題で問われる可能性があります。
  • 義務の対象者: 「パワハラ防止措置」は全事業主が義務ですが、「中途採用比率の公表」は常時雇用する労働者数が301人以上の事業主のみが義務です。 この規模要件を混同しないように注意が必要です。
  • 罰則の有無: パワハラ防止措置義務や中途採用比率の公表義務に違反しても、直接的な罰則規定はありません。しかし、厚生労働大臣による助言、指導、勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名が公表される可能性があります。 企業イメージの低下につながるため、事実上、遵守が求められます。

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よくある質問

Q: なぜ「雇用対策法」から「労働施策総合推進法」に名称が変わったのですか?

A: 従来の個別の雇用問題への対応だけでなく、働き方改革の推進やパワハラ問題など、より広く労働に関する施策を「総合的に推進」する必要性が高まったためです。 法律の目的や内容が、より現代の労働情勢に即したものへと拡大されたことを示しています。

Q: 2026年度試験に向けて、新たに追加された改正点はありますか?

A: はい、2025年に改正法が公布され、2026年から順次施行される内容があります。 特に重要なのは、これまで努力義務だった「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策」が事業主の義務となる点や、「治療と仕事の両立支援」に関する努力義務が新設される点です。 これらの新しい論点は出題可能性が高いため、必ず確認しておきましょう。

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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/3/20 / 更新日: 2026/4/24

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