移送費とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
移送費の定義
移送費(いそうひ)とは、被保険者が病気やケガにより移動が著しく困難な場合に、治療のために病院や診療所へ緊急やむを得ず移送されたとき、その費用について行われる現金給付のことです。 健康保険法第97条に定められており、被保険者が療養の給付(保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費などを含む)を受けるための移送が対象となります。
この制度は、移送にかかる経済的負担を補填し、必要な医療を受けられるようにすることを目的としています。 なお、被扶養者の場合は「家族移送費」として同様の給付が行われます。
移送費のポイント
社労士試験で問われる移送費の重要なポイントは、その支給要件です。移送費が支給されるためには、保険者(ほけんじゃ)が「必要である」と認める必要があり、具体的には以下の3つの要件をすべて満たさなければなりません。
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適切な療養を受けたこと 移送の目的である療養が、健康保険法に基づく適切な保険診療である必要があります。
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移動が著しく困難であったこと 移送の原因となった病気やケガにより、自力での移動が著しく困難な状態であったことが求められます。
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緊急その他やむを得なかったこと 移送が一時的、緊急的であり、やむを得ないものであったと認められる必要があります。 事前に保険者の承認を得ることが原則ですが、緊急の場合は事後でも認められます。
【覚え方のコツ】 支給要件の3つの柱を「い(移送)そ(相当な理由)いで(移動困難)運ぶ緊急事態」と覚えておくと、キーワードを思い出しやすくなります。
支給額についても重要です。 支給される金額は、最も経済的な通常の経路および方法で移送された場合の費用を基準に保険者が算定した額です。 実際に支払った費用(実費)が算定額を下回る場合は、実費が支給されます。 つまり、「算定額と実費を比べて少ない方の額」が支給されると覚えておきましょう。
具体例で理解する移送費
【支給されるケース】
- 災害現場で負傷し、救急車ではなく、やむを得ず民間救急車やタクシーで緊急に医療機関へ移送された場合。
- 離島で重い病気にかかり、現地の医療施設では対応できないため、医師の指示で本土の専門病院へ船やヘリコプターで移送された場合。
- 入院中の病院の設備では十分な治療ができず、医師の指示により緊急で他の病院へ転院した場合。
【支給されないケース】
- 日常的な通院のためにタクシーを利用した場合。
- 患者や家族の希望で、より評判の良い遠方の病院へ転院した場合。
- 症状が安定した後のリハビリ目的の転院や、退院時の移送。
試験対策:ひっかけに注意!
社労士試験では、移送費の細かいルールを突いたひっかけ問題が出題されやすいです。以下の点に注意しましょう。
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× 自己負担がある 移送費には、療養の給付のような3割負担といった自己負担はありません。 要件を満たせば算定額の範囲内で全額が支給されます。
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× 救急車の費用が対象 公的な救急車による移送は無料のため、移送費の対象外です。 勘違いしやすいポイントなので注意が必要です。
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× 付添人の費用は常に自己負担 原則として付添人の費用は対象外ですが、医師が医学的管理の必要性を認めた場合に限り、1名分の交通費が移送費の対象となることがあります。
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× 実費が全額支給される 支給額はあくまで「最も経済的な経路・方法で算定した額」が上限です。 実際に高額な費用がかかっても、算定額を超える部分は支給されません。
よくある質問
Q: タクシーで通院した場合、移送費はもらえますか?
A: いいえ、もらえません。移送費は、日常的な通院は対象外です。 あくまで、移動が著しく困難で、緊急その他やむを得ない場合の「移送」が対象となります。
Q: 移送費の申請はいつまでに行えばよいですか?
A: 移送費の支給を受ける権利は、移送に要した費用を支払った日の翌日から起算して2年で時効により消滅します。 申請を忘れないように注意が必要です。
Q: 家族が付き添った場合の交通費も対象になりますか?
A: 原則として対象外です。ただし、医師が治療上、医学的な管理が必要であると判断した場合に限り、例外的に1名分の交通費が移送費の対象となることがあります。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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