最低賃金法とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
最低賃金法の定義
最低賃金法とは、賃金の低い労働者の労働条件を改善し、生活の安定や労働力の質の向上などを図るために、国が賃金の最低額を保障する制度について定めた法律です。
具体的には、最低賃金法第1条で「この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」と定められています。
この法律に基づき、パートタイマーやアルバイトを含むすべての労働者に対して、使用者は定められた最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
最低賃金法のポイント
社労士試験で問われる最低賃金法の重要ポイントは以下の通りです。
1. 最低賃金の種類 最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。
- 地域別最低賃金: 産業や職種にかかわらず、各都道府県内のすべての労働者に適用されます。 毎年10月頃に改定されるのが通例です。
- 特定(産業別)最低賃金: 特定の産業について、地域別最低賃金よりも高い水準の最低賃金を定める必要があると認められた場合に設定されます。
両方が適用される労働者には、高い方の最低賃金額が適用されます。
2. 最低賃金の決定方式 最低賃金は、公益代表、労働者代表、使用者代表の三者で構成される「最低賃金審議会(さいていちんぎんしんぎかい)」での審議を経て決定されます。
- 地域別最低賃金: 中央最低賃金審議会が示す引上げ額の目安を参考に、地方最低賃金審議会が調査審議・答申(とうしん)し、都道府県労働局長が決定します。
3. 最低賃金の効力 最低賃金額に満たない賃金を定める労働契約は、その部分については無効となります。 無効となった部分は、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。
4. 減額の特例 一般の労働者と労働能力が同じでない労働者について、使用者が都道府県労働局長の許可を受けた場合に限り、最低賃金の減額が認められます。 対象となるのは以下のような労働者です。
- 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
- 試の使用期間中の者
- 認定職業訓練を受ける者のうち一定の者
- 軽易な業務に従事する者
- 断続的労働に従事する者
5. 周知義務 使用者は、適用される最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示するなどして、労働者に周知しなければなりません。 これに違反した場合、30万円以下の罰金が科せられます。
具体例で理解する最低賃金法
ケース:月給制の賃金が最低賃金を下回っていないか確認したい
月給制の場合、単純に月給額を月の労働時間で割るだけでは不十分です。最低賃金の計算に含めない賃金があるためです。
- 対象となる賃金: 毎月支払われる基本的な賃金(基本給や諸手当)
- 対象とならない賃金:
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 時間外・休日・深夜労働の割増賃金
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
【計算例】 東京都(地域別最低賃金 1,113円 ※2025年10月改定前の仮定)で働くAさんの場合
- 月給:200,000円(内訳:基本給17万円、職務手当1万円、通勤手当1万円、家族手当1万円)
- 年間所定労働日数:245日
- 1日の所定労働時間:8時間
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最低賃金の対象となる月給額を計算 200,000円 - (通勤手当10,000円 + 家族手当10,000円) = 180,000円
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月平均所定労働時間を計算 (245日 × 8時間) ÷ 12か月 = 163.33...時間
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時間額に換算して比較 180,000円 ÷ 163.33時間 ≒ 1,102円
この場合、Aさんの時間換算額(1,102円)は東京都の最低賃金(1,113円)を下回っているため、最低賃金法違反となります。
試験対策:ひっかけに注意!
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罰則の違いを覚える!
- 地域別最低賃金を下回る場合:50万円以下の罰金(最低賃金法第40条)
- 特定最低賃金を下回る場合:30万円以下の罰金(労働基準法第24条違反として) 根拠法と罰金額が異なるため、混同しないように注意が必要です。
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減額特例の許可権者 減額の特例許可を行うのは「厚生労働大臣」ではなく「都道府県労働局長」です。
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派遣労働者への適用 派遣労働者に適用される最低賃金は、派遣元ではなく「派遣先」の事業所の所在地に適用される最低賃金です。 例えば、神奈川県の派遣会社に登録していても、東京都の会社で働く場合は、東京の最低賃金が適用されます。
よくある質問
Q: 月給制の場合、最低賃金を下回っているかどうやって確認すればいいですか?
A: 月給から、通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外手当、賞与などを除いた金額を、月平均の所定労働時間で割って時間額を算出します。 その金額が、適用される最低賃金額を上回っているか確認してください。
Q: 地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合はどうなりますか?
A: 金額の高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。 例えば、ある産業に特定最低賃金が定められていても、その金額が地域別最低賃金を下回っている場合は、地域別最低賃金が適用されます。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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