被保険者期間とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
雇用保険の給付を受けるための最も基本的な要件の一つが「被保険者期間」です。社労士試験では、この被保険者期間の正確な計算方法が頻繁に問われます。単なる在籍期間とは異なる、雇用保険法独特の考え方をしっかりマスターしましょう。
被保険者期間の定義
被保険者期間とは、簡単に言うと「雇用保険に加入していた期間のうち、給与支払いの基礎となった日数が一定以上ある月」をカウントしたものです。
根拠となる雇用保険法第14条では、以下のように定義されています。
被保険者期間は、被保険者であつた期間のうち、当該被保険者でなくなつた日又は各月においてその日に応当し、かつ、当該被保険者であつた期間内にある日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日。以下この項において「喪失応当日」という。)の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼつた各期間(賃金の支払の基礎となつた日数が十一日以上であるものに限る。)を一箇月として計算し、その他の期間は、被保険者期間に算入しない。
つまり、カレンダー上の「1ヶ月」ではなく、離職日から遡って1ヶ月ごとに区切った期間で判断するのが最大のポイントです。
被保険者期間のポイント
試験対策上、押さえておくべきポイントは以下の通りです。
1. 計算の原則:離職日から遡って区切る
カレンダーの月に惑わされてはいけません。必ず離職日(資格喪失日)を基準に、1ヶ月ずつ遡って期間を区切ります。
2. 1ヶ月の条件:賃金支払基礎日数が「11日」以上
区切られた各期間において、賃金支払の基礎となった日数(ちんぎんしはらいきそにっすう)が11日以上ある場合に、その期間を「被保険者期間1ヶ月」としてカウントします。
- 賃金支払基礎日数とは?
- 月給者の場合:暦日数
- 日給・時給者の場合:出勤日数
- 有給休暇を取得した日も含まれます。
3. 例外規定:労働時間が「80時間」以上
2020年8月1日の改正により、多様な働き方に対応するため、新たな基準が加わりました。 基本手当の受給資格に必要な被保険者期間(原則12ヶ月)に満たない場合に限り、賃金支払基礎日数が11日未満の月でも、賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上あれば、その月を「被保険者期間1ヶ月」としてカウントできます。
- 覚え方のコツ
- 原則は「**いい日(11日)**以上」
- 例外は「や(8)ばいゼロ(0)時間」と覚えましょう。
4. 算定対象期間
被保険者期間を計算する大元の期間を「算定対象期間(さんていたいしょうきかん)」といいます。原則として離職日以前2年間です。 この2年間のうちに、上記の要件を満たす月が何ヶ月あるかを計算します。
- 期間の延長:疾病、負傷、事業所の休業、育児休業など、30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、その日数を加えた期間(最大4年)に延長されることがあります。
具体例で理解する被保険者期間
【設例】 賃金締切日:毎月末日 離職日:6月25日
この場合、カレンダーの月(6/1~6/30)で見るのではなく、離職日から遡って区切ります。
- 最初の1ヶ月:5月25日~6月24日
- この期間の賃金支払基礎日数が11日以上あれば「1ヶ月」とカウントします。
- 次の1ヶ月:4月25日~5月24日
- 同様に、この期間の日数が11日以上あれば「1ヶ月」とカウントします。
- 以下同様に、離職日以前2年間に遡って計算を続けます。
もし、ある期間で賃金支払基礎日数が10日だったとしても、労働時間が85時間であれば、例外規定によりその期間も「1ヶ月」として算入される可能性があります。
試験対策:ひっかけに注意!
社労士試験では、受験生の理解度を試す「ひっかけ問題」がよく出題されます。以下のポイントに注意してください。
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カレンダー月との混同 最も多い間違いです。「離職日から遡って区切る」という原則を徹底しましょう。
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「被保険者であった期間」との違い 単に会社に在籍していた「被保険者であった期間」と、賃金支払基礎日数などの要件を満たした「被保険者期間」は全くの別物です。 試験ではこの違いを意識して問題文を読む必要があります。
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算定対象期間との混同 「算定対象期間(原則2年)」はあくまで被保険者期間を計算する土台となる期間です。算定対象期間そのものが被保険者期間になるわけではありません。
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健康保険・厚生年金保険との違い 健康保険や厚生年金保険の被保険者期間は、資格取得月から資格喪失月の前月までを「月単位」で計算します。雇用保険の計算方法は特殊であるとしっかり区別して覚えましょう。
よくある質問
Q: パートタイマーで、月によっては出勤日数が10日しかない場合があります。被保険者期間はどうなりますか?
A: 原則として、賃金支払基礎日数が11日未満の月は被保険者期間に算入されません。ただし、その月の総労働時間が80時間以上であれば、被保険者期間として算入される可能性があります。 日数だけでなく労働時間も確認することが重要です。
Q: 産前産後休業や育児休業で長期間休んでいました。この期間は被保険者期間に含まれますか?
A: 産前産後休業や育児休業の期間中は、通常、賃金の支払いがないため、その期間は被保険者期間には算入されません。しかし、その休業期間については算定対象期間が最大4年まで延長される特例があります。これにより、休業前の被保険者期間と復職後の被保険者期間を合算して受給資格を判断できる場合があります。詳細は最新の法令を確認してください。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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