就職促進給付とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
就職促進給付の定義
就職促進給付(しゅうしょくそくしんきゅうふ)とは、雇用保険法に定められた失業等給付の一つで、失業された方の早期の再就職を促進・支援し、職業の安定を図ることを目的として支給される給付の総称です。
具体的には、以下の3つのカテゴリーに大別されます。
- 就業促進手当: 早期に再就職した場合などに支給される手当で、以下の4種類があります。
- 再就職手当
- 就業促進定着手当
- 就業手当
- 常用就職支度手当
- 移転費: ハローワークが紹介した職業に就くため、または指示された公共職業訓練を受けるために住所を変更する場合に、交通費や宿泊費などが支給されます。
- 求職活動支援費: 求職活動に伴う費用を支援するもので、広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費があります。
社労士試験では、特に「就業促進手当」の4種類について、それぞれの支給要件や支給額の違いを正確に理解しておくことが極めて重要です。
就職促進給付のポイント
試験対策上、特に重要な「就業促進手当」の4つの手当について、それぞれのポイントを整理します。
1. 再就職手当
基本手当の受給資格がある方が、早期に安定した職業に就いた場合に支給される、いわば「就職祝い金」です。 早期の再就職への最も強力なインセンティブとなるため、試験での出題頻度も最も高いです。
- 目的: 基本手当の受給期間を長く残して再就職することを奨励する。
- 主な支給要件:
- 支給額: 支給残日数と給付率によって決まります。
- 支給残日数が3分の2以上の場合: 基本手当日額 × 支給残日数 × 70%
- 支給残日数が3分の1以上の場合: 基本手当日額 × 支給残日数 × 60%
2. 就業促進定着手当
再就職手当を受給したものの、再就職後の賃金が離職前の賃金より低下した場合に、その差額の一部を補填する目的で支給されます。
- 目的: 再就職後の定着を支援する。
- 主な支給要件:
- 支給額: (離職前の賃金日額 - 再就職後6か月の賃金日額) × 支払基礎日数
- 上限: 基本手当日額 × 支給残日数 × 20%
- ※法改正により、2025年4月1日から上限の給付率が引き下げられています。
3. 就業手当
再就職手当の対象とならないような、パートタイマーなど比較的短期の就業に就いた場合に支給されます。
- 目的: 常用雇用以外の形態での早期就業を促進する。
- 主な支給要件:
- 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上あること。
- 支給額: 基本手当日額 × 30% × 就業日数
- 注意: 2025年4月1日の法改正により、この就業手当は廃止されました。 2026年度の試験では、廃止されたという点を押さえておく必要があります。
4. 常用就職支度手当
障害のある方など、就職が困難な方が安定した職業に就いた場合に支給されます。
- 目的: 就職が困難な方の就職を促進・支援する。
- 対象者: 身体障害者、知的障害者、精神障害者、45歳以上の中高年齢者など。
- 主な支給要件: 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満である場合など、再就職手当や就業手当の対象とならない方が対象です。
- 支給額: 基本手当の支給残日数に応じて、基本手当日額の36日分などに相当する額が支給されます。
具体例で理解する就職促進給付
【設定】
- Aさん(40歳)
- 離職前の賃金日額: 10,000円
- 基本手当日額: 6,000円
- 所定給付日数: 120日
【ケース1: 早期に再就職が決まった場合】 待期満了後、基本手当を10日分受給した時点(支給残日数110日)で、1年以上の契約で再就職が決まりました。
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再就職手当の計算
- 支給残日数が110日で、所定給付日数120日の3分の2(80日)以上あるため、給付率は70%となります。
- 支給額: 6,000円 × 110日 × 70% = 462,000円
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就業促進定着手当の計算
- Aさんは再就職手当を受給し、同じ会社で6か月勤務しました。しかし、再就職後の賃金が下がり、6か月間の賃金から算出した賃金日額が9,000円になりました。
- 低下した賃金額: (10,000円 - 9,000円) × 180日 = 180,000円
- 支給上限額: 6,000円 × 110日 × 20% = 132,000円
- 低下した賃金額が上限額を上回るため、支給額は132,000円となります。
試験対策:ひっかけに注意!
- 給付制限期間中の就職: 自己都合退職などで給付制限(2025年4月以降は原則1か月に短縮)がある場合、待期満了後の最初の1か月間に就職して再就職手当を受給するには、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介による必要があります。 1か月経過後は、自己応募でも対象となります。
- 支給残日数の要件: 「再就職手当(3分の1以上)」と「常用就職支度手当(3分の1未満など)」では、支給残日数の要件が異なります。両者の関係性を正確に覚えましょう。
- 就業手当の廃止: 2025年4月の法改正で就業手当が廃止された点は、最新情報として必ず押さえてください。 古いテキストで学習している場合は特に注意が必要です。
- 再就職手当と就業促進定着手当の関係: 就業促進定着手当は、必ず再就職手当を受給していることが前提となります。 独立した給付ではないことを理解しましょう。
よくある質問
Q: 契約社員や派遣社員として再就職した場合でも、再就職手当はもらえますか?
A: はい、もらえます。雇用期間が1年以下であっても、契約の更新が見込まれ、結果的に「1年を超えて勤務することが確実」であるとハローワークが判断すれば、支給対象となります。
Q: 再就職手当をもらった後、すぐに会社を辞めてしまいました。手当は返さないといけませんか?
A: 原則として、再就職手当の支給を受けた後に自己都合で退職した場合でも、手当を返還する必要はありません。ただし、不正受給と判断された場合は返還命令の対象となります。また、短期間で離職すると、次に失業した場合の基本手当の受給資格に影響が出ることがあります。
Q: 就業促進定着手当の申請はいつまでに行えばよいですか?
A: 再就職した日から6か月を経過した日の翌日から起算して、2か月以内に申請する必要があります。申請期間が短いため、忘れずに手続きを行うことが重要です。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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