高齢者医療確保法とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
高齢者医療確保法の定義
高齢者医療確保法(正式名称:高齢者の医療の確保に関する法律)とは、国民の高齢期における適切な医療の確保を図ることを目的とした法律です。
具体的には、以下の4つの大きな柱で構成されています。
- 医療費適正化の推進: 医療費の増大を抑制するための計画を国や都道府県が策定します。
- 特定健診・特定保健指導の実施: 40歳から74歳までの方を対象に、メタボリックシンドロームに着目した健康診査(特定健診)と保健指導(特定保健指導)を保険者に義務付けています。
- 前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整: 65歳から74歳までの前期高齢者の医療費について、各医療保険者間の財政的な不均衡を調整します。
- 後期高齢者医療制度の創設: 75歳以上の方(および一定の障害がある65歳以上の方)を対象とした独立した医療制度を設けています。
社労士試験では、特に「前期高齢者医療制度」と「後期高齢者医療制度」の違い、そして「特定健診・特定保健指導」が頻出論点となっています。
高齢者医療確保法のポイント
試験対策上、絶対に押さえるべき3つのポイントを解説します。
ポイント1:後期高齢者医療制度は「独立した制度」
75歳(一定の障害があると認定された場合は65歳)になると、それまで加入していた健康保険や国民健康保険から脱退し、自動的に「後期高齢者医療制度」の被保険者となります。 これは、都道府県ごとに設立された**後期高齢者医療広域連合(こうきこうれいしゃいりょうこういきれんごう)**が保険者となって運営する、全く別の医療保険制度です。
【財源構成】 後期高齢者医療にかかる費用の財源は、以下の割合で構成されています。
- 患者の窓口負担: 1割(現役並み所得者は3割など)
- 公費: 約5割(国:都道府県:市町村=4:1:1の割合)
- 現役世代からの支援(後期高齢者支援金): 約4割
- 高齢者本人の保険料: 約1割
この「公費5割、支援金4割、保険料1割」という財源構成は、数字を入れ替える問題が出題されやすいため、必ず覚えましょう。
ポイント2:前期高齢者医療制度は「調整する仕組み」
前期高齢者(65歳~74歳)は、75歳以上の方と違い、現在加入している医療保険の被保険者のままです。 では、何が変わるのかというと、医療保険者間の「お金の調整」が行われます。
一般的に、国民健康保険は前期高齢者の加入割合が高く、健康保険組合は低い傾向にあります。この医療費負担の不均衡をなくすため、社会保険診療報酬支払基金(しゃかいほけんしんりょうほうしゅうしはらいききん)が各保険者から前期高齢者納付金を徴収し、前期高齢者の加入割合が高い保険者に前期高齢者交付金として交付する仕組みです。
つまり、前期高齢者医療制度は独立した医療制度ではなく、あくまで保険者間の財政調整の仕組みである、という点を明確に区別することが重要です。
ポイント3:特定健診・特定保健指導の対象者
特定健診(特定健康診査)と特定保健指導は、生活習慣病の予防を目的として、40歳から74歳までの被保険者および被扶養者を対象に実施されます。 実施義務があるのは、健康保険組合や全国健康保険協会、市町村などの保険者です。
年齢要件(40歳~74歳)は、前期・後期高齢者の年齢区分と混同しやすいため、正確に暗記しましょう。
具体例で理解する高齢者医療確保法
【後期高齢者医療制度の例】 Aさん(76歳)が風邪で病院にかかりました。Aさんは75歳の誕生日から自動的に「後期高齢者医療制度」に加入しているため、窓口で「後期高齢者医療被保険者証」を提示し、医療費の1割を支払います。残りの9割は、Aさんが納める保険料、国や自治体の公費、そして現役世代が納める保険料からなる後期高齢者支援金によって賄われます。
【前期高齢者医療制度の例】 Bさん(70歳)は、息子が勤務する会社の健康保険組合の被扶養者です。Bさんが病気で高額な医療費がかかりました。この場合、Bさんの医療費は健康保険組合が給付しますが、健康保険組合は前期高齢者であるBさんの医療費負担に応じて、社会保険診療報酬支払基金に「前期高齢者納付金」を納付します。これにより、保険者間の財政のバランスが保たれます。
試験対策:ひっかけに注意!
社労士試験では、細かい部分を突いた「ひっかけ問題」が頻出します。以下のポイントに注意してください。
-
【ひっかけ】 後期高齢者医療制度の保険者は「市町村」である。
【正解】 × 保険者は「後期高齢者医療広域連合」です。 市町村は、保険料の徴収や各種届出の窓口業務を担当します。 -
【ひっかけ】 前期高齢者は、65歳になると前期高齢者医療制度に加入する。
【正解】 × 前期高齢者医療制度は独立した制度ではないため、「加入」するという概念はありません。 65歳になっても、元の医療保険の被保険者資格は継続します。 -
【ひっかけ】 後期高齢者支援金を徴収するのは、後期高齢者医療広域連合である。
【正解】 × 後期高齢者支援金は、各医療保険者から社会保険診療報酬支払基金が徴収し、支払基金から広域連合へ交付されます。
よくある質問
Q: 75歳になったら、今まで使っていた健康保険証はどうなりますか?
A: 75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた健康保険や国民健康保険の資格は自動的に喪失します。 代わりに、お住まいの市区町村から「後期高齢者医療被保険者証」が交付されますので、医療機関ではそちらを提示することになります。
Q: 後期高齢者医療制度の保険料はどのように決まりますか?
A: 保険料は、被保険者一人ひとりが納付します。 金額は、被保険者全員が等しく負担する「均等割額」と、前年の所得に応じて負担する「所得割額」の合計で決まります。 保険料率(均等割額と所得割率)は、各都道府県の後期高齢者医療広域連合が2年ごとに条例で定めます。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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