教育訓練給付金とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

教育訓練給付金の定義

教育訓練給付金とは、働く人の主体的な能力開発の取組みや中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給される制度です。 根拠条文は雇用保険法第60条の2です。

この制度は、在職中の方だけでなく、離職した方も一定の要件を満たせば利用することができます。社労士試験では、その種類の多さや支給要件の細かさから、頻出論点の一つとなっています。

教育訓練給付金のポイント

試験対策上、最も重要なのは3種類の教育訓練給付金の違いを正確に覚えることです。それぞれの特徴を表で整理しましょう。

| 種類 | 目的 | 支給率 | 上限額 | 支給要件期間 (原則 / 初回特例) | 手続き | | :--- | :--- | :--- | :--- | :--- | :--- | | 一般教育訓練給付金 | 雇用の安定・就職の促進に資する訓練 | 受講費用の20% | 10万円 | 3年以上 / 1年以上 | 訓練修了後に申請 | | 特定一般教育訓練給付金 | 速やかな再就職・早期のキャリア形成に資する訓練 | 受講費用の40% | 20万円 | 3年以上 / 1年以上 | 訓練開始1ヶ月前までに訓練前手続が必要 | | 専門実践教育訓練給付金 | 中長期的なキャリア形成に資する専門的・実践的な訓練 | 受講費用の50% (※1) | 年間40万円 (※2) | 3年以上 / 2年以上 | 訓練開始1ヶ月前までに訓練前手続が必要 |

(※1) 訓練修了後、資格取得等をし、1年以内に被保険者として雇用された場合、**20%が追加支給され、合計70%**となります。 (※2) 訓練期間が複数年にわたる場合、最大で120万円が上限となります。

【覚え方のコツ】

  • 支給率と上限額: 「一般は210万、特定は420万、専門は540万」とリズミカルに覚えましょう。
  • 初回の支給要件期間: 最もひっかけられやすいポイントです。「専門実践は2年以上」と、これだけが違うことを強く意識してください。一般と特定一般は「1年以上」です。
📝

教育訓練給付金」― 雇用保険の数字、覚えてる?

雇用保険法の過去問を多数収録。解説付きで読んだ知識をその場で定着させましょう。

具体例で理解する教育訓練給付金

【ケース1:一般教育訓練給付金】 在職中のAさん(支給要件期間10年)が、キャリアアップのために厚生労働大臣指定の簿記講座(受講費用15万円)を受講し、修了しました。

  • 支給額:15万円 × 20% = 3万円
  • 上限の10万円を超えていないため、3万円が支給されます。

【ケース2:専門実践教育訓練給付金】 離職中のBさん(初回利用、離職後6ヶ月、支給要件期間5年)が、看護師になるため2年制の専門学校(年間費用80万円)に入学し、無事卒業。卒業後3ヶ月で病院に看護師として就職しました。

  1. 訓練中の支給:
    • 年間支給額:80万円 × 50% = 40万円(上限額)
    • 2年間で合計 40万円 × 2年 = 80万円が訓練中に支給されます。
  2. 修了後の追加支給:
    • 資格取得し、1年以内に就職したため追加支給の対象となります。
    • 2年間の総費用の70%相当額:(80万円×2年) × 70% = 112万円
    • 追加支給額:112万円 - 80万円(訓練中に受給) = 32万円

Bさんは合計で 80万円 + 32万円 = 112万円の給付を受けることができます。

試験対策:ひっかけに注意!

社労士試験では、細かい要件を問うひっかけ問題が頻出します。以下のポイントに注意してください。

  1. 支給要件期間のカウント:

    • 原則、同一の事業主の適用事業に継続して雇用された期間ですが、転職していても、被保険者でなかった期間が1年以内であれば通算されます。1年を超えるとリセットされます。
    • 過去に教育訓練給付金を受給した場合、その受給日以降の期間しかカウントされず、前回の受給日から3年以上経過している必要があります。
  2. 初回の支給要件期間:

    • 何度も強調しますが、**専門実践教育訓練給付金のみ、初回の要件が「2年以上」**です。 一般・特定一般は「1年以上」です。この違いは必ず押さえましょう。
  3. 教育訓練支援給付金との混同:

    • 専門実践教育訓練給付金の受給者のうち、45歳未満の離職者など一定の要件を満たす場合に、訓練中の生活を支援するために別途支給されるのが「教育訓練支援給付金」です。 これは基本手当の日額を基に計算され、教育訓練給付金とは別の給付です。 ごちゃ混ぜにならないようにしましょう。
  4. 2025年10月からの法改正:

    • 2025年10月1日から「教育訓練休暇給付金」が新設されます。 これは、被保険者が教育訓練のための休暇を取得した場合に支給されるもので、従来の教育訓練給付金とは全く別の制度です。2026年度の試験では、この新しい給付金との違いを問われる可能性があります。

ここまで読んだ知識を定着させよう

雇用保険法の過去問を多数収録。解説付きで理解を深められます。

よくある質問

Q: 在職中でも教育訓練給付金は利用できますか?

A: はい、利用できます。雇用保険の被保険者であり、支給要件期間などの要件を満たしていれば、在職中の方でも受給が可能です。

Q: 支給要件期間を満たしているか、どこで確認できますか?

A: ご自身の住所を管轄するハローワークで「教育訓練給付金支給要件照会票」を提出することで、受給資格の有無や対象となる講座について確認することができます。

Q: 途中で訓練をやめてしまった場合、給付金はもらえますか?

A: 原則として、厚生労働大臣が指定した教育訓練を「修了」することが支給の条件です。そのため、自己都合で途中でやめてしまった場合は、給付金を受け取ることはできません。詳細は最新の法令を確認してください。

この用語に関連する過去問に挑戦

この用語の理解度をチェックしましょう。社労士過去問クイズアプリで関連する過去問を解くことができます。

過去問に挑戦する


※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

腕試しクイズ

在職中でも教育訓練給付金は利用できますか?

もっと問題を解きたい方へ

全10科目・1000問以上の過去問を収録。解説付きで知識を定着させましょう。

公開日: 2026/2/6 / 更新日: 2026/3/26

雇用保険法の他の記事

能力開発事業とは?雇用保険二事業の財源と実施内容を解説

能力開発事業は雇用保険二事業の一つで事業主負担の保険料が財源。職業訓練の実施、キャリアコンサルティング、教育訓練給付との関係、雇用安定事業との違いを社労士試験向けに解説。

就職促進給付とは?4つの手当の支給要件と支給額を比較表で解説

就職促進給付の4つの手当(①再就職手当 ②就業促進定着手当 ③就業手当 ④常用就職支度手当)の支給要件・支給額・対象者を比較表で整理。移転費・求職活動支援費も解説。

雇用保険の適用除外とは?対象外となる7つのケースを一覧で解説

雇用保険の適用除外7パターン(①週20時間未満 ②31日未満の雇用見込み ③季節的労働者 ④公務員 ⑤船員 ⑥昼間学生 ⑦65歳以上の特例)の要件と例外を一覧で整理。

雇用保険の給付体系とは?4つの柱と給付種類の全体像を図解で解説

雇用保険の給付体系を4つの柱(①求職者給付 ②就職促進給付 ③教育訓練給付 ④雇用継続給付)+育児休業給付で整理。各給付の種類と目的、雇用保険二事業との関係を図解で解説。

雇用安定事業とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

雇用安定事業とは、失業予防や雇用機会増大などを目的とした政府の事業です。社労士試験では、目的、財源(事業主負担の雇用保険料)、任意事業である点が重要。雇用保険法62条の雇用保険二事業の一つ。社労士用語Web事典で詳しく解説。