通勤災害の逸脱中断とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

通勤災害の逸脱中断の定義

通勤災害(つうきんさいがい)における「逸脱(いつだつ)・中断(ちゅうだん)」とは、労働者が通勤の途中で、合理的な通勤経路から外れたり(逸脱)、通勤とは関係のない行為を行ったり(中断)することです。労働者災害補償保険法(ろうどうしゃさいがいほしょうほけんほう)では、この逸脱・中断があった場合、原則としてその間およびその後の移動は「通勤」とは認められず、労災保険給付の対象外となります。

根拠となる条文は、労働者災害補償保険法第7条第3項です。

(労働者災害補償保険法 第7条第3項) 労働者が、前項各号に掲げる移動の経路を逸脱し、又は同項各号に掲げる移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項各号に掲げる移動は、第一項第三号の通勤としない。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。

通勤災害の逸脱中断のポイント

社労士試験で問われる逸脱・中断のポイントは、「原則」と「例外」を正確に区別して覚えることです。

【原則】 通勤経路を逸脱・中断した場合、その逸脱・中断の間だけでなく、その後の合理的な経路に戻った後の移動もすべて通勤とは認められません。

【例外】 ただし、逸脱・中断の理由が「日常生活上必要な行為」であり、それが「やむを得ない事由」により「最小限度」で行われるものである場合は、例外的な取り扱いがされます。 この場合、逸脱・中断のは通勤とは認められませんが、合理的な通勤経路に復帰した後は、再び通勤として保護の対象となります。

この「日常生活上必要な行為」は、厚生労働省令で具体的に定められています。

  1. 日用品の購入その他これに準ずる行為
  2. 職業訓練や学校教育法に規定される学校等において行われる教育訓練であって、職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
  3. 選挙権の行使その他これに準ずる行為
  4. 病院または診療所において診察または治療を受けることその他これに準ずる行為
  5. 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹ならびに配偶者の父母の介護(継続的または反復して行われるものに限る)

【覚え方のコツ】 例外となる行為は、日常生活に不可欠なものや、公共性の高いものに限定されているとイメージしましょう。「日用品、職業訓練、選挙、病院、家族の介護」とキーワードで覚えるのが効果的です。

📝

通勤災害の逸脱中断」― 労災の給付要件、正確に答えられる?

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具体例で理解する通勤災害の逸脱中断

【原則に該当する例(通勤とならない)】

  • 逸脱の例: 仕事帰りに、通勤経路から大きく外れた場所にある映画館に立ち寄った。映画館で映画を観ている間はもちろん、その後、映画館から自宅までの移動も通勤とはなりません。
  • 中断の例: 通勤経路の途中にあるカフェに入り、友人と1時間おしゃべりをした。カフェにいる間だけでなく、カフェを出てから自宅までの移動も通勤とはなりません。

【例外に該当する例(経路復帰後は通勤となる)】

  • 日用品の購入: 仕事帰りに、通勤経路の途中にあるスーパーマーケットで夕食の材料を買った。買い物をしている間は通勤ではありませんが、スーパーを出て自宅に向かう途中の移動は通勤となります。
  • 病院での診察: 退勤途中に、持病の薬をもらうために通勤経路を少し外れてクリニックに立ち寄った。診察中は通勤ではありませんが、クリニックから通常の帰宅経路に戻ってからの移動は通勤となります。

【「ささいな行為」との違い】 通勤の途中で行うごく短時間の行為は「ささいな行為」とされ、逸脱・中断とはみなされません。この場合、行為中も含めて通勤が継続していると判断されます。

  • : 経路上のコンビニでタバコやジュースを買う、公衆トイレを利用する、駅の売店で新聞を買うなど。

試験対策:ひっかけに注意!

社労士試験では、原則と例外の境界線を問う問題が頻出します。以下のひっかけポイントに注意しましょう。

  • ひっかけポイント1:例外的な逸脱・中断の「間」は対象外 例外に該当する行為(スーパーでの買い物など)であっても、その行為を行っている最中の災害は通勤災害にはなりません。 あくまで保護の対象となるのは、**合理的な経路に復帰した「後」**です。 例えば、スーパーの店内で転んでケガをした場合は対象外です。

  • ひっかけポイント2:目的の限定 例外とされる「日常生活上必要な行為」は、厚生労働省令で定められたものに限定されます。例えば、同じ買い物でも「趣味の骨董品を探しに店に寄る」といった行為は、日用品の購入には当たらないため、原則通り逸脱・中断と判断されます。

  • ひっかけポイント3:「ささいな行為」か「中断」か 「経路上の店で短時間ビールを立ち飲みする」のは「ささいな行為」とされる可能性がありますが、「居酒屋に入って飲酒する」のは「中断」と判断されます。 このように、行為の態様や時間によって判断が分かれる点が出題される可能性があります。

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よくある質問

Q: 会社に届け出ている通勤経路と違う道を通ったら、すぐに「逸脱」になりますか?

A: いいえ、なりません。労災保険でいう「合理的な経路」とは、必ずしも会社に届け出た一つの経路に限定されません。特段の理由なく著しく遠回りするような場合でなければ、複数の経路が合理的と認められることがあります。したがって、届け出と違う経路を通ったことだけを理由に、直ちに逸脱とは判断されません。

Q: 仕事帰りに食事をする場合はどうなりますか?

A: 独身者が夕食のために食堂に立ち寄るなど、日常生活上やむを得ないと認められる場合は、例外的な「日用品の購入その他これに準ずる行為」として扱われることがあります。 しかし、同僚と長時間にわたり飲酒を伴う食事をするような場合は、中断とみなされ、その後の移動も通勤とは認められない可能性が高いです。 ケースバイケースでの判断となります。

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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/3/13 / 更新日: 2026/3/26

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