高年齢者雇用安定法とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

高年齢者雇用安定法の定義

高年齢者雇用安定法(こうねんれいしゃこようあんていほう)とは、少子高齢化が急速に進展する中で、働く意欲のある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、雇用の安定と再就職の促進などを図るための法律です。 具体的には、定年の引き上げや継続雇用制度の導入などを事業主に義務付け、高年齢者が年齢に関わらず活躍できる環境を整備することを目的としています。

高年齢者雇用安定法のポイント

社労士試験対策として、特に重要なポイントは「65歳までの雇用確保措置(義務)」と「70歳までの就業確保措置(努力義務)」の違いを明確に理解することです。

1. 65歳までの雇用確保措置(義務)

定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

  1. 65歳までの定年引上げ
  2. 定年制の廃止
  3. 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

特に重要なのは、③の継続雇用制度です。2025年3月31日で経過措置が終了し、2025年4月1日以降は、希望者全員を対象としなければならなくなりました。 以前のように労使協定によって対象者を限定することはできないため、注意が必要です。

2. 70歳までの就業確保措置(努力義務)

65歳までの雇用確保措置を講じた上で、さらに70歳までの安定した就業機会を確保することが事業主の「努力義務」とされています。 選択肢が多様であり、雇用契約に限られない点が大きな特徴です。

  1. 70歳までの定年引上げ
  2. 定年制の廃止
  3. 70歳までの継続雇用制度の導入
  4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  5. 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入

④と⑤は、労働者として雇用するのではなく、個人事業主などとして事業主と関わる形態(創業支援等措置)です。 この措置を導入する場合、過半数労働組合等の同意を得た上で計画を作成する必要があります。

覚え方のコツ

  • **「65歳までは義務、70歳までは努力」**と覚えましょう。
  • **「70歳は多様な働き方」**と覚え、雇用以外の選択肢(業務委託、社会貢献)があることを意識しましょう。

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具体例で理解する高年齢者雇用安定法

【ケース1:65歳までの雇用確保措置】

A社(定年60歳)に勤務するBさん(59歳)は、60歳以降も働くことを希望しています。A社は高年齢者雇用安定法に基づき、希望者全員を対象とする継続雇用制度を導入しています。そのため、BさんはA社と新たに1年契約の嘱託社員として雇用契約を結び、65歳まで働き続けることが可能になりました。なお、再雇用後の給与や労働条件は、定年前と異なる内容で見直されることが一般的です。

【ケース2:70歳までの就業確保措置】

C社(定年65歳)で長年経理を担当してきたDさんは、65歳で定年退職しました。しかし、豊富な知識と経験を活かしてまだ働きたいと考えています。C社は70歳までの就業確保措置として「業務委託契約を締結する制度」を設けていたため、Dさんと業務委託契約を締結。Dさんは個人事業主として、週2日C社の経理業務に関するコンサルティングを行うことになりました。

試験対策:ひっかけに注意!

  • 義務と努力義務の混同 「70歳までの就業確保措置は義務である」という選択肢は誤りです。2026年度試験時点では努力義務です。

  • 継続雇用制度の対象者 「65歳までの継続雇用制度は、労使協定で対象者を限定できる」という選択肢は誤りです。2025年4月以降は希望者全員が対象です。

  • 70歳までの措置の内容 「70歳までの就業確保措置は、雇用関係の継続に限られる」という選択肢は誤りです。業務委託契約や社会貢献事業といった、雇用によらない措置も含まれます。

  • 用語の定義 法律上の「高年齢者」は55歳以上、「中高年齢者」は45歳以上を指します。各措置の対象となる年齢と混同しないように注意しましょう。

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よくある質問

Q: 70歳までの就業確保措置は、必ず導入しないといけないのですか?

A: いいえ、2026年現在、これは法的な強制力のない「努力義務」です。 事業主は措置を講じるよう努めなければなりませんが、導入していないことによる罰則は現時点ではありません。ただし、国の方針として高年齢者の就労促進が進められているため、今後の法改正で義務化される可能性も視野に入れておく必要があります。

Q: 65歳までの継続雇用制度で、再雇用後の給与や労働条件は変更できますか?

A: はい、変更することは可能です。 定年時に一度労働契約が終了し、新たな契約を結ぶ「再雇用制度」の場合、以前の労働条件がそのまま引き継がれるわけではありません。 ただし、労働条件を変更する場合は、就業規則等に明記し、個々の労働者の同意を得る必要があります。詳細は最新の法令を確認してください。

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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/3/10 / 更新日: 2026/4/24

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