定額部分とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

定額部分の定義

定額部分(ていがくぶぶん)とは、65歳前に支給される「特別支給の老齢厚生年金」を構成する要素の一つです。 これは、厚生年金保険の被保険者期間に応じて計算される、文字通り「定額」の年金を指します。 報酬額の多い少ないにかかわらず、加入期間が同じであれば同額になるのが特徴で、国民年金の「老齢基礎年金」に相当する部分と位置づけられています。

根拠条文は厚生年金保険法附則に定められていますが、制度の経過措置であるため、試験対策上は計算方法や支給要件を正確に理解することが重要です。

定額部分のポイント

社労士試験で問われる定額部分の重要ポイントは、計算式、支給開始年齢、そして加給年金額との関連性です。

1. 計算式

定額部分の額は、以下の計算式で算出されます。

1,628円 × 改定率 × 被保険者期間の月数

  • 単価(1,628円): この単価は、老齢基礎年金の満額(780,900円×改定率)を480月(40年)で割った額に相当します。
  • 改定率: 毎年度、物価や賃金の変動に応じて改定されます。
  • 被保険者期間の月数: 厚生年金保険の被保険者であった期間の合計月数を用います。ただし、**上限が480月(40年)**と定められています。 したがって、480月を超えて加入していても、定額部分の計算上は480月として扱われます。

2. 支給開始年齢

定額部分は、誰でも受給できるわけではありません。支給開始年齢は生年月日と性別によって定められており、段階的に引き上げられた結果、最終的には廃止されます。

2026年度の試験対策としては、以下の点を確実に押さえましょう。

  • 男性: 昭和24年4月1日以前生まれの方が対象です。 昭和24年4月2日以降に生まれた男性には、定額部分は支給されません。
  • 女性: 昭和29年4月1日以前生まれの方が対象です。 昭和29年4月2日以降に生まれた女性には、定額部分は支給されません。

つまり、2026年時点で新たに定額部分の受給権が発生する方は、原則として存在しないことになります。 ただし、長期加入者や障害者の特例に該当する場合は、生年月日要件を満たさなくても定額部分が支給されるケースがあります。

3. 加給年金額

定額部分を理解する上で最も重要なのが、「加給年金額(かきゅうねんきんがく)」との関連です。加給年金額は、厚生年金版の「家族手当」ともいえるもので、一定の要件を満たす配偶者や子がいる場合に老齢厚生年金に加算されます。

この加給年金額が加算されるためには、原則として厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あることに加え、65歳到達時点、または**「定額部分」の支給が開始される時点**で、生計を維持している65歳未満の配偶者等がいることが必要です。

つまり、特別支給の老齢厚生年金においては、「定額部分」が支給されるかどうかが、65歳前に加給年金額を受け取れるかどうかの判断基準の一つとなるのです。

📝

定額部分」― 厚年の加給年金、条件を覚えてる?

厚生年金保険法の過去問を多数収録。解説付きで読んだ知識をその場で定着させましょう。

具体例で理解する定額部分

【設例】

  • 対象者: 昭和24年4月1日生まれの男性
  • 厚生年金加入期間: 450月(37年6ヶ月)
  • 改定率: 1.080(仮定)

この男性は、生年月日要件(昭和24年4月1日以前生まれ)を満たすため、定額部分の支給対象となります。支給開始年齢は64歳です。

定額部分の年金額は以下の通り計算します。

1,628円 × 1.080(仮定の改定率) × 450月 = 791,316円(年額)

この額が、報酬比例部分に上乗せして支給されます。もしこの男性に、65歳未満の妻など加給年金額の対象となる家族がいれば、さらに加給年金額も加算される可能性があります。

試験対策:ひっかけに注意!

社労士試験では、正確な知識が問われます。以下のひっかけポイントに注意しましょう。

  • 報酬比例部分との混同: 定額部分は加入期間のみで計算され、現役時代の報酬額は一切関係ありません。 「報酬額が高かったから定額部分も多い」といった選択肢は誤りです。
  • 被保険者期間の上限: 計算に用いる被保険者期間は最大480月です。 「加入期間が500月なので、500月分で計算する」という選択肢は誤りです。
  • 支給対象者の生年月日: 定額部分が支給されない生年月日(男性:昭和24年4月2日以後、女性:昭和29年4月2日以後)を正確に覚えておきましょう。 これらの生年月日の方が定額部分を受け取れるとする選択肢は誤りです(特例を除く)。
  • 経過的加算との関係: 65歳以降に支給される老齢厚生年金には、「経過的加算(けいかてきかさん)」という部分があります。これは、65歳前の「定額部分」に相当するもので、計算方法も似ていますが、あくまで65歳以降の別の給付です。 両者を混同しないように注意が必要です。

ここまで読んだ知識を定着させよう

厚生年金保険法の過去問を多数収録。解説付きで理解を深められます。

よくある質問

Q: 定額部分は、今後新たにもらえる人はいないのですか?

A: はい、原則として新規の受給権者は発生しません。 定額部分の支給開始年齢は段階的に65歳まで引き上げられ、男性は昭和24年4月2日以降、女性は昭和29年4月2日以降に生まれた方は、支給開始年齢が65歳となり、実質的に支給されなくなりました。 ただし、厚生年金に44年以上加入している「長期加入者の特例」や、「障害者の特例」に該当した場合は、例外的に定額部分が支給されることがあります。

Q: 厚生年金の加入期間が40年(480月)を超えていますが、定額部分は増えますか?

A: いいえ、増えません。定額部分の計算に用いる被保険者期間の月数は、480月が上限と法律で定められています。 そのため、例えば42年(504月)加入していても、計算上は480月として扱われ、40年加入の人と同額になります。

この用語に関連する過去問に挑戦

この用語の理解度をチェックしましょう。社労士過去問クイズアプリで関連する過去問を解くことができます。

過去問に挑戦する


※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

腕試しクイズ

定額部分は、今後新たにもらえる人はいないのですか?

もっと問題を解きたい方へ

全10科目・1000問以上の過去問を収録。解説付きで知識を定着させましょう。

公開日: 2026/3/21 / 更新日: 2026/3/24

厚生年金保険法の他の記事

老齢基金対象期間とは?厚生年金基金の加入期間と年金額への影響

老齢基金対象期間とは厚生年金基金の加入員であった期間。老齢厚生年金の報酬比例部分の計算での代行部分の取扱い、基金解散後の対応、確定給付企業年金との違いを解説。

標準報酬月額の上限と下限とは?厚年32等級・健保50等級の等級表を解説

厚生年金の標準報酬月額は32等級(上限65万円・下限8.8万円)、健康保険は50等級(上限139万円)。等級表の見方、上限該当者の保険料、等級数の改定の仕組みを解説。

報酬比例部分とは?計算式(本則・従前額保障)と平均標準報酬の求め方

報酬比例部分の2つの計算式(本則と従前額保障)を解説。平均標準報酬月額と平均標準報酬額の違い、再評価率、給付乗率(5.481/1000等)の意味を具体的な計算例で説明。

脱退一時金(厚年)とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

脱退一時金(厚年)とは、外国人労働者の保険料掛け捨て防止のための制度です。社労士試験では支給要件と計算方法が重要。このページで分かりやすく解説します。社労士用語Web事典。

障害手当金とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

障害手当金とは、厚生年金保険法で定められた一時金です。社労士試験では、支給要件と支給額が重要ポイント。障害手当金の定義と試験対策を社労士用語Web事典で詳しく解説します。