追徴金とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

追徴金の定義

追徴金(ついちょうきん)とは、事業主が労働保険料を本来納付すべき額より少なく申告・納付していたことが発覚し、政府によって不足額の納付が決定(認定決定)された場合に、その不足した保険料に加えてペナルティとして徴収される金銭のことです。

根拠条文は労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下、徴収法)第21条に定められています。

(労働保険徴収法 第21条) 政府は、事業主が第十九条第五項の規定による労働保険料又はその不足額を納付しなければならない場合には、その納付すべき額(その額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)に百分の十を乗じて得た額の追徴金を徴収する。ただし、事業主が天災その他やむを得ない理由により、(中略)納付しなければならなくなつた場合は、この限りでない。

簡単に言うと、「ごまかしたり、間違った申告をしたりして保険料を安く済ませていたことに対する罰金」というイメージです。

追徴金のポイント

社労士試験で追徴金について問われるポイントは明確です。以下の3点をしっかり押さえましょう。

| ポイント | 内容 | 試験での重要度 | | :--- | :--- | :--- | | 徴収される場合 | 政府が**確定保険料の額を認定決定した場合 | ★★★ | | 追徴金の率 | 納付すべき額の10%** | ★★★ | | 納付期限 | 通知を発する日から起算して30日を経過した日 | ★★☆ |

1. 徴収されるのはどんな時?

追徴金が徴収されるのは、政府が職権で「確定保険料」の額を決定(認定決定)した場合に限られます。 事業主が年度更新の際に申告した確定保険料の額が誤っており、調査などの結果、本来の額との間に不足があることが判明した場合などが該当します。

【重要】 事業主が調査を受ける前に**自主的に誤りを訂正し、修正申告を行った場合は、追徴金は徴収されません。**これは試験で最も狙われやすい「ひっかけポイント」です。

2. 追徴金の額はいくら?

追徴金の額は、認定決定により納付すべきことになった保険料(またはその不足額)の**100分の10(10%)**です。

計算の基礎となる「納付すべき額」に1,000円未満の端数がある場合は、その端数を切り捨ててから10%を乗じます。 また、算出された追徴金の額そのものではなく、計算の基礎となる不足保険料の額が1,000円未満の場合は、追徴金は徴収されません。

3. いつまでに納付する?

追徴金の納付期限は、所轄都道府県労働局歳入徴収官から通知書が発せられた日から起算して30日を経過した日です。 この「30日」という数字は覚えておきましょう。

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追徴金」― 徴収法の計算問題、解ける?

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具体例で理解する追徴金

【ケース】 A社は、労働保険の年度更新で確定保険料を80万円と申告・納付した。しかし後日、労働局の調査により、一部の労働者の賃金が申告から漏れていたことが発覚。正しい確定保険料は100万円であったため、不足額について認定決定が行われた。

  1. 不足していた保険料(追徴金の計算基礎額) 100万円(正しい額) - 80万円(申告額) = 20万円

  2. 追徴金の計算 20万円 × 10% = 2万円

  3. A社が納付すべき金額 不足保険料 20万円 + 追徴金 2万円 = 22万円 ※このほか、本来の納期限の翌日から納付日までの日数に応じて「延滞金」も発生する場合があります。

試験対策:ひっかけに注意!

1. 「概算保険料」の認定決定では徴収されない

追徴金が徴収されるのは「確定保険料」の認定決定の場合のみです。 年度当初に納付する「概算保険料」の申告がなく、政府によって認定決定された場合でも、追徴金は徴収されません。 これは非常に重要な区別です。

2. 「延滞金」との違いを明確に!

追徴金と延滞金は、性質が全く異なるペナルティです。

  • 追徴金: 不正な申告等に対する罰金的な性格。 確定保険料の認定決定時に課される。
  • 延滞金: 納付の遅れに対する利息的な性格。 督促状で指定された期限までに労働保険料を納付しない場合に課される。

重要なのは、追徴金自体が未納になっても、追徴金に対して延滞金は課されないという点です。 ただし、追徴金の納付を怠ると督促を受け、最終的には滞納処分(財産の差し押さえなど)の対象となります。

3. 「印紙保険料」の追徴金は率が違う

日雇労働被保険者に関する「印紙保険料」の納付を怠った場合の追徴金は、率が**100分の25(25%)**と定められており、通常の10%よりも高くなっています。 この違いも択一式で問われる可能性があります。

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よくある質問

Q: 労働局の調査が入る前に、自主的に申告の誤りを訂正すれば追徴金はかからないのですか?

A: はい、その通りです。政府による認定決定がなされる前に、事業主が自ら誤りに気づき、正しい額で修正申告を行った場合には、追徴金は徴収されません。不足分の保険料を納付する必要はありますが、ペナルティは課されないということです。これは自主的な是正を促すための仕組みです。

Q: 追徴金と延滞金は、同時に両方課されることはありますか?

A: はい、あります。例えば、不正な申告により確定保険料の不足額について認定決定がなされた場合、その不足額に対して10%の「追徴金」が課されます。同時に、その不足額は本来の納期限に納付されているべきものなので、その納期限の翌日から実際に納付されるまでの日数に応じて「延滞金」も計算されます。

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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/3/14 / 更新日: 2026/3/26

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