延納とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

延納の定義

延納(えんのう)とは、事業主が労働保険の概算保険料を、法律で定められた要件のもとで分割して納付することができる制度です。

労働保険料は、原則として年度の初めに概算額を一括で申告・納付し、翌年度の初めに確定した賃金総額で精算(年度更新)します。 しかし、概算保険料が高額になる場合、事業主の負担を軽減するためにこの延納制度が設けられています。

根拠条文は、労働保険徴収法第18条に定められています。

延納のポイント

社労士試験で問われる延納の重要ポイントは、「対象となる保険料」「延納が認められる要件」「納付回数と納期限」の3つです。

1. 対象となる保険料

延納の対象となるのは概算保険料のみです。 これには、年度更新時の概算保険料のほか、年度の途中で賃金総額が大幅に増加した場合の「増加概算保険料」も含まれます。

確定保険料や、申告・納付が遅れた場合に課される追徴金・延滞金は延納の対象外ですので、明確に区別して覚えましょう。

2. 延納が認められる要件

延納をするためには、事業主が申請した上で、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 金額要件
    • 概算保険料の額が40万円以上であること。
    • 労災保険か雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ成立している事業の場合は20万円以上であること。
  • 事務組合委託
    • 労働保険事務組合(ろうどうほけんじむくみあい)に労働保険事務を委託していること。この場合は、概算保険料の金額にかかわらず延納が可能です。

【覚え方のコツ】(4)っかり(2)ジュウマン、事務組合はフリーパス!」と覚えましょう。金額要件と、事務組合委託の場合は金額不問という点をセットで記憶するのが重要です。

3. 納付回数と納期限

延納は、原則として3回に分割して納付します。 ただし、年度の途中で保険関係が成立した場合は、成立時期によって分割回数が異なります。

【原則的な納期限(前年度から事業が継続している場合)】 | 期別 | 対象期間 | 納期限 | | :--- | :--- | :--- | | 第1期 | 4月1日~7月31日 | 7月10日 | | 第2期 | 8月1日~11月30日 | 10月31日 | | 第3期 | 12月1日~3月31日 | 翌年1月31日 |

※労働保険事務組合に事務を委託している場合、第2期は11月14日、第3期は2月14日と、納期限が14日間延長されます。

【年度途中で保険関係が成立した場合】

  • 4月1日~5月31日成立:3回分割が可能。第1期の納期限は「保険関係成立の日の翌日から50日以内」となります。
  • 6月1日~9月30日成立:2回分割が可能。第1期の納期限は「保険関係成立の日の翌日から50日以内」となります。
  • 10月1日以降成立延納は認められません。全額を一括で納付する必要があります。
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具体例で理解する延納

【ケース1:金額要件で延納】

  • 建設業のA社(事務組合への委託なし)
  • 2026年度の概算保険料が90万円
  • 解説:概算保険料が40万円以上のため、申請により延納が可能です。A社は30万円ずつを3回に分けて、それぞれ7月10日、10月31日、翌年1月31日までに納付します。

【ケース2:事務組合委託で延納】

  • 小売業のB社(事務組合へ委託あり)
  • 2026年度の概算保険料が15万円
  • 解説:概算保険料は20万円未満ですが、労働保険事務組合に事務を委託しているため、金額にかかわらず延納が可能です。 B社は5万円ずつを3回に分けて、それぞれ7月10日、11月14日、翌年2月14日までに納付します。

試験対策:ひっかけに注意!

延納は、徴収法の試験で頻出の論点であり、正確な知識が求められます。以下のひっかけポイントに注意しましょう。

  1. 「確定保険料」も延納できる?できません。延納の対象はあくまで概算保険料です。 年度更新で生じた確定保険料の不足額は、新年度の概算保険料(第1期分)とあわせて一括で納付する必要があります。

  2. 国税の「納税の猶予」との混同全く別の制度です。労働保険料の「延納」は、あらかじめ法律で定められた要件を満たせば認められる事前の分割納付制度です。一方、国税の「納税の猶予」や「換価の猶予」は、災害や病気などの理由で納付が困難な場合に、申請に基づき個別に認められる事後の納税緩和措置です。労働保険料の滞納処分は国税滞納処分の例によりますが、制度の趣旨が異なる点を理解しておきましょう。

  3. 申請はいつでもできる?できません。延納の申請は、原則として概算保険料申告書の提出と同時に行う必要があります。納期限を過ぎてから申請することはできません。

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よくある質問

Q: 延納の申請を忘れてしまいました。後から申請できますか?

A: 原則として、概算保険料申告書の提出時に申請する必要があり、後からの申請は認められません。定められた納期限(原則7月10日)までに全額を納付する必要があります。

Q: 延納の各期の納付が遅れた場合、どうなりますか?

A: 各期の納期限までに納付しなかった場合、その遅れた分について延滞金が課されます。 延納はあくまで分割納付を認める制度であり、納付義務が免除されるわけではありません。督促を受けても納付しない場合は、財産の差押えなどの滞納処分が行われる可能性があります。

Q: 有期事業の延納も同じ要件ですか?

A: いいえ、異なります。建設工事などの有期事業の場合、延納が認められる金額要件は「概算保険料の額が75万円以上」または労働保険事務組合への委託、とされています。 また、分割回数や納期限の考え方も継続事業とは異なりますので、混同しないように注意が必要です。詳細は最新の法令を確認してください。

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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/2/8 / 更新日: 2026/3/26

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