増加概算保険料とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

増加概算保険料の定義

増加概算保険料(ぞうかがいさんほけんりょう)とは、保険年度の途中で、事業の拡大や賃金水準の上昇などにより、当初申告した賃金総額の見込額が大幅に増加した場合に、事業主が自主的に追加で申告・納付する労働保険料のことです。

根拠条文は労働保険徴収法第16条に定められています。 年度当初に申告した概算保険料だけでは、年度末の確定精算時に事業主の負担が一時的に大きくなることを防ぐ目的があります。

増加概算保険料のポイント

社労士試験で問われる増加概算保険料のポイントは、申告・納付が必要となる「要件」と「期限」です。特に数字は正確に覚えましょう。

申告・納付が必要となる要件

以下の両方の要件を満たした場合に、申告・納付義務が生じます。

  1. 賃金総額の見込額が2倍を超えること 増加後の賃金総額の見込額が、当初申告した賃金総額の見込額の100分の200(つまり2倍)を超えること。

  2. 保険料の差額が13万円以上であること 増加後の見込額で計算した概算保険料額と、すでに納付した概算保険料額との差額が13万円以上であること。

このほか、これまで労災保険のみ、または雇用保険のみの適用事業所だったところが、年度の途中で両保険の適用事業所になった場合など、保険料率が変更された場合にも増加概算保険料の対象となるケースがあります。

申告・納付の期限

上記の要件に該当することとなったその日から30日以内に、増加概算保険料申告書を提出し、増加分の保険料を納付しなければなりません。

覚え方のコツ

賃金2倍、差額は13万、30日以内に増加申告!」と覚えておくと、試験で数字を問われた際に思い出しやすくなります。

増加概算保険料」― 徴収法の計算問題、解ける?

全問解説付き・無料の社労士過去問アプリ

いますぐ過去問を解くApp Store / Google Play 対応

具体例で理解する増加概算保険料

【前提】

  • 事業の種類:一般の事業
  • 労働保険料率:1.35%(仮定 ※令和8年度の料率案を参照)
  • 年度当初の申告内容:
    • 賃金総額の見込額:1,000万円
    • 概算保険料額:1,000万円 × 1.35% = 135,000円(納付済み)

【状況発生】 年度の途中、業績が好調で従業員を増員したため、賃金総額の見込額が2,500万円に増加することが判明した。

【要件の確認】

  1. 賃金総額は2倍を超えているか?

    • 当初の見込額の2倍:1,000万円 × 2 = 2,000万円
    • 増加後の見込額は2,500万円であり、2,000万円を超えているため、要件①を満たします。
  2. 保険料の差額は13万円以上か?

    • 増加後の概算保険料額:2,500万円 × 1.35% = 337,500円
    • 差額:337,500円 - 135,000円 = 202,500円
    • 差額は202,500円であり、13万円以上であるため、要件②を満たします。

【結論】 要件①と②の両方を満たすため、この事業主は賃金総額の増加が見込まれた日から30日以内に、差額である202,500円を増加概算保険料として申告・納付する必要があります。

試験対策:ひっかけに注意!

増加概算保険料は、他の制度との違いや数字の要件でひっかけ問題が出されやすい論点です。

  • 確定保険料との混同 増加概算保険料は「年度の途中」に「見込み額」が増加した際の手続きです。一方、確定保険料は「年度終了後」に「実績(確定した賃金総額)」に基づいて過不足を精算する手続きです。両者の目的とタイミングの違いを明確に区別しましょう。

  • 数字の要件2倍」「13万円」「30日」という3つの数字は最重要ポイントです。 試験では「1.5倍(100分の150)」「10万円」「50日」などの選択肢で誤りを誘ってきます。正確な暗記が必須です。

  • 「かつ」要件であること 賃金総額が増加した場合の要件は、「2倍を超える」と「差額13万円以上」の両方を満たす必要があります。 どちらか一方だけでは申告義務は生じません。

  • 追加徴収との違い 保険料率が年度途中で引き上げられた場合に行われる「追加徴収」は、政府が職権で行うもので、事業主からの申告は不要です。 また、追加徴収は保険料の増加額にかかわらず行われます。 事業主が自主的に申告・納付する増加概算保険料との違いを押さえておきましょう。

ここまでの知識、過去問で試してみませんか?

読んだ内容がそのまま出題されます。解説付きで理解度を確認できます。

よくある質問

Q: 増加概算保険料の申告・納付を怠った場合、どうなりますか?

A: 事業主が申告・納付を怠った場合、政府(所轄都道府県労働局歳入徴収官)が調査を行い、納付すべき保険料額を決定(認定決定)します。 この場合、本来納付すべき保険料額に加えて、追徴金(納付すべき額の10%)が課される可能性がありますので、必ず期限内に手続きを行いましょう。

Q: 増加概算保険料も延納(分割納付)できますか?

A: はい、概算保険料の延納が認められている事業主であれば、増加概算保険料についても、残りの納期に合わせて分割して納付することが可能です。 ただし、増加が見込まれた日以降の納期に限られます。詳細は最新の法令を確認してください。

この用語に関連する過去問に挑戦

この用語の理解度をチェックしましょう。社労士過去問クイズアプリで関連する過去問を解くことができます。

過去問に挑戦する


※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

増加概算保険料」の理解度をチェック

社労士過去問クイズ 2026

社労士過去問クイズ 2026 - AI解説機能のアプリ画面
腕試しこの用語から出題

増加概算保険料の申告・納付を怠った場合、どうなりますか?

徴収法だけで60問以上
全問解説付き・完全無料
2026年試験対応

公開日: 2026/3/4 / 更新日: 2026/4/24

徴収法の他の記事

暫定任意適用事業とは?対象業種と加入手続き

暫定任意適用事業(ざんていにんいてきようじぎょう)とは、労働保険(労災保険・雇用保険)の適用について、当分の間、加入が任意とされている事業のことです。労働保険徴収法附則第2条に規定されています。暫定任意適用事業はあくまで個人経営の小規模事業に限られます。

労働保険料の充当と還付とは?精算の仕組み

労働保険料の充当と還付とは、年度更新において確定保険料が概算保険料を下回った場合に、超過額を翌年度の概算保険料等に充当するか事業主に還付する制度です。徴収法第19条第6項に基づく充当の優先ルール、還付請求書の提出手続き、一般拠出金への充当、事業廃止時の取扱いを解説します。

請負事業の一括とは?元請の責任と要件

請負事業の一括(うけおいじぎょうのいっかつ)とは、労災保険において支給される制度です。労働保険徴収法第8条に規定されています。請負事業の一括のポイント1. 法律上当然の一括請負事業の一括は、一定の要件を満たせば法律上当然に行われます。社労士試験で問われる要件やポイントを具体例とともに解説します。

認定決定とは?発動要件と追徴金の関係

認定決定(にんていけってい)とは、事業主が所定の期限までに労働保険料の申告書を提出しない場合に支給される制度です。労働保険徴収法第19条第4項および第15条第3項に規定されています。この違いは頻出です。社労士試験で問われる要件やポイントを具体例とともに解説します。

印紙保険料とは?納付方法と3段階の額を解説

印紙保険料(いんしほけんりょう)とは、日雇労働被保険者に係る雇用保険料として納付する保険料です。労働保険徴収法第22条〜第25条に規定されています。負担は常に事業主と被保険者の折半です。社労士試験で問われる要件やポイントを具体例とともに解説します。

追徴金とは?計算方法と課される3場面

追徴金(ついちょうきん)とは、事業主が労働保険料を正しく申告・納付しなかった場合に課される、ペナルティとしての一種の制裁金です。労働保険徴収法第21条に定められており、不足していた保険料額の10%が徴収されます。これは、申告義務違反に対する行政上の制裁であり、正直に申告した事業主との公平性を保つための重要な制度です。

賃金総額の特例(請負事業)とは?労務費率の計算方法と対象事業

賃金総額の特例(ちんぎんそうがくのとくれい)とは、労働保険料を算定する際の基礎となる賃金総額を正確に計算することが難しい特定の事業について定められた制度です。このような場合に、事業主の事務負担を軽減し、適正な保険料徴収を確保するために本特例が設けられています。

労働保険の届出・手続きとは?成立届から年度更新まで期限一覧で解説

労働保険の届出・手続きとは、労働保険徴収法(ろうどうほけんちょうしゅうほう)に基づき、事業主が行う一連の手続きのことです。これらの手続きは、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の制度を運営するための根幹となるものであり、事業主の義務として法律で定められています。

他の科目で学ぶ