給付基礎日額とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
給付基礎日額の定義
給付基礎日額(きゅうふきそにちがく)とは、労災保険の給付額を計算する際の基礎となる1日あたりの金額のことです。 労働者災害補償保険法(ろうどうしゃさいがいほしょうほけんほう)第8条第1項で「労働基準法第12条の平均賃金に相当する額」と定められています。
原則として、算定事由発生日(業務災害や通勤災害の原因となった事故の発生日、または医師の診断により疾病の発生が確定した日)の直前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数(れきにっすう)で割って算出されます。
【計算式】 給付基礎日額 = 算定事由発生日以前3か月間の賃金総額 ÷ その期間の総日数(暦日数)
賃金締切日が定められている場合は、事故発生日などの直前の賃金締切日から遡って3か月間を計算期間とします。
給付基礎日額のポイント
社労士試験で問われる給付基礎日額の重要ポイントは以下の通りです。
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労働基準法の「平均賃金」がベース: 計算方法は労働基準法の平均賃金と全く同じです。ただし、労災保険法では後述する「スライド制」や「最低・最高保障額」といった独自の制度がある点が大きな違いです。
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賃金総額に含まれないもの: 臨時に支払われた賃金(結婚手当など)や、賞与(ボーナス)など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、原則として算定基礎となる賃金総額には含まれません。
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端数処理: 計算の結果、1円未満の端数が生じた場合は、1円に切り上げます。
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スライド制: 労災年金などの長期にわたる給付では、賃金水準の変動に合わせて給付額の価値を維持するため、給付基礎日額が見直される「スライド制」が適用されます。 休業(補償)等給付についても、四半期ごとの平均給与額が一定以上(±10%)変動した場合にスライド改定が行われます。
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最低保障額: 計算された額が非常に低くなる場合でも、労働者の生活を保障するため、最低保障額(自動変更対象額)が定められています。 令和7年8月1日からは4,250円に改定されています。
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年齢階層別の最低・最高限度額: 年金たる給付などについては、被災労働者の年齢階層に応じて、給付基礎日額に最低額と最高額が設定されています。
具体例で理解する給付基礎日額
【設例】
- 月給:30万円(毎月末日締め、翌月10日払い)
- 事故発生日:2026年7月15日
- 直前3か月の賃金:
- 4月分(5/10支払):30万円
- 5月分(6/10支払):30万円
- 6月分(7/10支払):30万円
【計算】
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算定期間の確定: 事故発生日(7/15)の直前の賃金締切日は6月30日です。そこから3か月遡るので、算定期間は「4月1日~6月30日」となります。
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賃金総額の計算: 30万円 × 3か月 = 90万円
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期間の総日数の計算: 4月(30日) + 5月(31日) + 6月(30日) = 91日
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給付基礎日額の算出: 900,000円 ÷ 91日 ≒ 9,890.109...円 → 9,891円(1円未満切り上げ)
この場合、休業(補償)等給付は、1日あたり「9,891円 × 60%」、さらに特別支給金として「9,891円 × 20%」が支給されます。
試験対策:ひっかけに注意!
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分母は「労働日数」ではなく「暦日数」: 計算式の分母は、実際に働いた日数ではなく、カレンダー上の日数である「暦日数」です。 ここは試験で頻繁に問われるポイントです。
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賞与の扱い: 給付基礎日額の算定基礎には賞与は含まれませんが、労災保険給付とは別に、賞与(特別給与)を基礎として計算される「特別支給金(障害特別年金など)」という制度が存在します。 この2つを混同しないように注意が必要です。
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平均賃金との違いを意識する: 計算方法は同じでも、労災保険法独自の「スライド制」や「年齢階層別最低・最高限度額」の適用がある点を忘れないようにしましょう。労働基準法の問題か、労災保険法の問題かを正確に把握することが重要です。
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複数事業労働者の場合: 複数の事業場で働く労働者(ダブルワーカーなど)が被災した場合、原則として全ての就業先の賃金額を合算した額を基礎に給付基礎日額が決定されます。
よくある質問
Q: パートタイマーで勤務日数が少ない場合、給付基礎日額は低くなりますか?
A: 原則的な計算方法では低くなる可能性がありますが、そのために最低保障額の制度があります。 日給や時間給制の場合は、「賃金総額 ÷ その期間の労働日数 × 60%」で計算した額と比較し、高い方が平均賃金(給付基礎日額の基礎)となります。 さらに、その額が国が定める最低保障額(自動変更対象額)を下回る場合は、最低保障額が適用されます。
Q: 賞与(ボーナス)は、労災の給付額に全く反映されないのですか?
A: 給付基礎日額を基礎とする「保険給付(本体給付)」の額には反映されません。 しかし、社会復帰促進等事業の一環として支給される「特別支給金」のうち、障害特別年金や遺族特別年金など一部のものについては、事故前1年間の賞与等を基礎とした「算定基礎日額」を用いて計算され、保険給付に上乗せして支給されます。
Q: 一度決まった給付基礎日額は、ずっと変わらないのですか?
A: いいえ、変わり続けます。特に年金給付は長期にわたるため、賃金水準の変動に応じて毎年8月にスライド率が見直され、それに伴い年金額も改定されます。 また、休業(補償)等給付についても、四半期ごとの賃金変動が大きければスライド改定の対象となります。 これにより、給付の実質的な価値が維持される仕組みになっています。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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