労災保険率とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
労災保険率の定義
労災保険率(ろうさいほけんりつ)とは、労働者災害補償保険(一般に労災保険)の事業に必要な費用を賄うために、事業主が納付する労働保険料を計算する際に用いられる率のことです。
根拠となる「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」(以下、徴収法)第12条第2項では、労災保険率は、過去3年間の業務災害や通勤災害の発生状況などを考慮して、厚生労働大臣が定めると規定されています。
この率は、事業の種類ごとに災害発生のリスクに応じて細かく定められており、原則として3年ごとに改定されます。 2024年度(令和6年度)に改定が行われ、2025年度(令和7年度)は変更がない予定です。
労災保険率のポイント
社労士試験で問われる労災保険率の重要ポイントは以下の通りです。
1. 事業の種類ごとに設定
労災保険率は、すべての事業で一律ではなく、事業の種類ごとに定められています。 これは、業種によって仕事の危険度が異なるためです。例えば、林業や建設事業は他の業種に比べて災害リスクが高いため、保険率は高く設定されています。 現在の労災保険率は、最も低い「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」などの1,000分の3.0から、最も高い「金属鉱業、非金属鉱業又は石炭鉱業」の1,000分の88まで、54の業種に区分されています。
2. メリット制による保険率の増減
個々の事業場の災害発生状況に応じて、保険率を増減させる「メリット制」という制度があります。 これは、事業主の災害防止努力を促進し、保険料負担の公平性を図ることを目的としています。
- 対象事業: 一定規模以上(継続事業の場合、労働者数100人以上など)で、保険関係成立後3年以上経過している事業が対象です。
- 増減範囲: 過去3年間の災害発生状況(保険給付額と保険料額の収支率)に応じて、原則として±40%の範囲で労災保険率が調整されます。
- 適用時期: 例えば、2022年度から2024年度までの3年間の実績は、2026年度の保険率に反映されます。
3. 特別加入保険料率
労働者ではないものの、業務の実態から特別に労災保険への加入が認められている中小事業主や一人親方などには、特別加入保険料率が適用されます。
- 第一種特別加入(中小事業主等): その事業に適用される労災保険率と同一の率が適用されます。
- 第二種特別加入(一人親方等): 事業や作業の種類に応じて、個別の保険料率が定められています。
- 第三種特別加入(海外派遣者): 事業の種類にかかわらず、一律の保険料率(1,000分の3)が適用されます。
具体例で理解する労災保険率
労災保険料は、**「賃金総額 × 労災保険率」**で計算されます。
【例1:小売業の場合】
- 従業員10人、年間の賃金総額が3,600万円の小売業の事業場
- 小売業の労災保険率:1,000分の3
- 計算式:3,600万円 × 3 / 1,000 = 108,000円
- この事業場が納付する年間の労災保険料は108,000円となります。
【例2:メリット制が適用される場合】
- 従業員150人、年間の賃金総額が5億円の製造業の事業場
- 製造業(食料品製造業)の労災保険率:1,000分の6
- 過去3年間、災害防止に努め、災害発生が少なかったため、メリット制により保険率が40%引き下げられたとします。
- メリット適用後の保険率の計算は少し複雑ですが、結果として保険率が下がります。
- この結果、保険料負担が軽減され、企業の安全衛生活動へのインセンティブとなります。
試験対策:ひっかけに注意!
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決定権者: 労災保険率を最終的に定めるのは**「厚生労働大臣」**です。 「都道府県労働局長」や「労働基準監督署長」といった選択肢に惑わされないようにしましょう。
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考慮される期間: 労災保険率の算定基礎となるのは**「過去3年間」**の災害発生率などです。 「過去5年間」などの数字の入れ替えに注意が必要です。
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メリット制の対象外: メリット制は、すべての事業場に適用されるわけではありません。規模要件(労働者数など)や事業の継続期間の要件を満たさない事業は対象外です。
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通勤災害の扱い: メリット制の収支率を計算する際、業務災害に関する保険給付は算定の基礎に含まれますが、通勤災害に関する保険給付は含まれません。
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特別加入保険料率の混同: 第一種(中小事業主)は「事業所の料率と同じ」、第三種(海外派遣者)は「一律」と、種類によって決定方法が異なる点を正確に覚えましょう。
よくある質問
Q: 労災保険率は毎年変わるのですか?
A: いいえ、原則として3年ごとに改定されます。 経済状況の大きな変動などがない限り、3年間は同じ率が適用されます。直近では令和6年度に改定が行われました。
Q: 中小事業主として特別加入(第一種特別加入)した場合、労災保険率はどうなりますか?
A: その事業主が行っている事業に適用される労災保険率と、原則として同じ率が適用されます。 例えば、建設業を営む中小事業主であれば、建設事業の労災保険率が適用されます。第二種や第三種のように、事業内容に関わらず一律の率が適用されるわけではない点に注意が必要です。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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