葬祭料とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
葬祭料の定義
葬祭料(そうさいりょう)とは、労働者が業務上の事由または通勤によって死亡した場合に、その葬祭を行う者に対して支給される労災保険の保険給付です。 根拠条文は労働者災害補償保険法第17条です。
業務災害による死亡の場合は「葬祭料」、通勤災害による死亡の場合は「葬祭給付」と呼ばれますが、給付内容は同じです。 この記事では、まとめて「葬祭料」として解説します。
葬祭料のポイント
社労士試験で問われる葬祭料の重要ポイントは、「誰に」「いくら」支給されるかです。数字や要件を正確に覚えましょう。
支給要件と受給権者
- 支給要件:労働者が業務災害または通勤災害により死亡したこと。
- 受給権者:「葬祭を行う者」です。
試験対策上、最も重要なのは、受給権者が「葬祭を行う者」であるという点です。これは必ずしも遺族(補償)給付の受給権者と一致するわけではありません。 例えば、身寄りのない労働者が亡くなり、会社が社葬を行った場合は、その会社が受給権者となり得ます。 友人や知人が葬祭を行った場合も同様です。
支給額
葬祭料の額は、以下の①と②を比較して、いずれか高い方の額が支給されます。
- 315,000円 + 給付基礎日額(きゅうふきそにちがく)の30日分
- 給付基礎日額の60日分(最低保障額)
この計算式は必ず暗記してください。特に、原則の計算(①)だけでなく、最低保障額(②)との比較を忘れないようにすることが大切です。
【覚え方のコツ】 「サイコー(315)の葬祭、参列(30)者は無礼(60)ゼロ」と覚えてみましょう。
時効
葬祭料を請求する権利は、被災労働者が死亡した日の翌日から起算して2年で時効により消滅します。
具体例で理解する葬祭料
【ケース1:給付基礎日額が12,000円の労働者が死亡した場合】
-
原則額の計算 315,000円 + (12,000円 × 30日分) = 315,000円 + 360,000円 = 675,000円
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最低保障額の計算 12,000円 × 60日分 = 720,000円
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支給額の決定 ①(675,000円)と②(720,000円)を比較し、高い方の720,000円が支給されます。
【ケース2:給付基礎日額が5,000円の労働者が死亡した場合】
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原則額の計算 315,000円 + (5,000円 × 30日分) = 315,000円 + 150,000円 = 465,000円
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最低保障額の計算 5,000円 × 60日分 = 300,000円
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支給額の決定 ①(465,000円)と②(300,000円)を比較し、高い方の465,000円が支給されます。
このように、必ず両方の計算を行い、金額を比較する癖をつけましょう。
試験対策:ひっかけに注意!
遺族(補償)給付との混同
前述の通り、葬祭料の受給権者は「葬祭を行う者」であり、遺族(補償)給付の受給資格者(配偶者、子、父母など順位が定められている)とは必ずしも一致しません。 「葬祭料は、遺族補償年金の受給権者に支給される」といった選択肢は誤りです。
健康保険法の「埋葬料」「埋葬費」との違い
死亡に関する給付として、健康保険法には「埋葬料(まいそうりょう)」と「埋葬費(まいそうひ)」があります。労災保険の葬祭料とは原因や支給額、対象者が異なるため、正確に区別して覚えましょう。
| 項目 | 労災保険:葬祭料 | 健康保険:埋葬料 | 健康保険:埋葬費 | |:---|:---|:---|:---| | 原因 | 業務災害・通勤災害 | 業務外の事由 | 業務外の事由 | | 支給額 | 315,000円+給付基礎日額30日分(最低保障:給付基礎日額60日分) | 原則5万円 | 埋葬料(5万円)の範囲内で実費 | | 受給権者 | 葬祭を行う者 | 被保険者に生計維持され、埋葬を行う者 | 埋葬料の受給者がいない場合に、実際に埋葬を行った者 |
よくある質問
Q: 葬儀費用の領収書は請求に必要ですか?
A: 葬祭料の請求にあたり、原則として葬儀費用を証明する領収書の添付は必要ありません。 ただし、誰が葬祭を行ったかを証明する資料(例:会葬礼状など)の提出を求められる場合があります。詳細は最新の法令を確認してください。
Q: 遺族がおらず、会社が社葬を行いました。この場合、葬祭料は誰に支給されますか?
A: 葬祭を行う遺族がいない場合に会社が社葬を行った場合など、その社葬の性質によっては、葬祭を行った会社に対して葬祭料が支給されます。
Q: 葬祭料と健康保険の埋葬料を両方もらうことはできますか?
A: いいえ、両方を受け取ることはできません。 死亡の原因が業務災害または通勤災害の場合は労災保険の葬祭料が支給され、業務外の事由である場合は健康保険の埋葬料(または埋葬費)が支給対象となります。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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