有期事業の一括とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説

有期事業の一括の定義

有期事業の一括(ゆうきじぎょうのいっかつ)とは、労働保険徴収法第7条に定められた制度です。 事業主が同一であり、かつ一定の要件を満たす小規模な有期事業(建設工事や立木の伐採事業など、事業の期間があらかじめ予定されている事業)が複数ある場合に、それらの事業を法律上まとめて一つの事業として取り扱う制度を指します。

この制度の目的は、事業主が個々の事業ごとに労働保険の成立手続きや保険料の申告・納付を行う事務的な負担を軽減し、労働保険事業の効率的な運営を図ることにあります。 一括された事業は、原則として一つの継続事業のように扱われ、年度更新(ねんどこうしん)という年1回の手続きで保険料を申告・納付することになります。

有期事業の一括のポイント

社労士試験で問われる有期事業の一括の要件は非常に重要です。以下のポイントを正確に覚えましょう。

【一括の対象となる事業】

  • 事業主が同一であること。
  • それぞれの事業が、労災保険に係る保険関係が成立している「建設の事業」または「立木の伐採の事業」であること。

【規模に関する要件】 以下の両方を満たす必要があります。

  1. 概算保険料(がいさんほけんりょう)の額が160万円未満であること。
  2. 以下のいずれかに該当すること。
    • 建設の事業: 請負金額が1億8,000万円未満(消費税抜き)。
    • 立木の伐採の事業: 素材の見込生産量が1,000立方メートル未満

【その他の要件】

  • それぞれの事業が、他の事業の全部または一部と同時に行われること。
  • 労災保険率表における事業の種類が同じであること。
  • それぞれの事業の労働保険料の納付事務が、一つの事務所(一括事務所)で取り扱われること。

【手続き】

  • これらの要件を満たす場合、事業主からの申請がなくても法律上当然に一括されます。
  • 最初に一括される事業を開始した際は、「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署長に提出します。 その後は、個々の事業を開始するたびに「一括有期事業開始届」を提出する必要があります。

【覚え方のコツ】 金額要件の「160万円」と「1億8,000万円」は混同しやすいため、ゴロ合わせで覚えましょう。

  • 「ヒーロー(18)は、一路(16)を行く!」
    • ヒーロー(18) → 1億8,000万円
    • 一路(16) → 160万円

有期事業の一括」― 徴収法の計算問題、解ける?

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具体例で理解する有期事業の一括

【ケース】 建設業を営むA社が、2026年度に以下の2つの元請工事を行いました。

  • 工事①: 4月開始、東京都内でのオフィスビル改修工事
    • 請負金額: 1億円(税抜)
    • 概算保険料: 100万円
  • 工事②: 9月開始、同じく東京都内での倉庫新築工事
    • 請負金額: 5,000万円(税抜)
    • 概算保険料: 50万円

【解説】

  1. 事業主の同一性: どちらの工事もA社が行うため、事業主は同一です。
  2. 事業の種類: どちらも「建設の事業」です。
  3. 規模要件:
    • 工事①、②ともに請負金額は1億8,000万円未満です。
    • 工事①、②ともに概算保険料は160万円未満です。
  4. その他の要件: 2つの工事は一部期間が重なっており、事務も本社で一括して行っているとします。

この場合、すべての要件を満たすため、工事①と工事②は法律上当然に「有期事業の一括」の対象となります。A社は、工事ごとに労働保険の成立手続きをする必要はなく、年度末にまとめて一つの事業として確定保険料の申告・納付(年度更新)を行うことになります。

試験対策:ひっかけに注意!

  • 金額の「未満」と「以下」: 規模要件の金額は「未満」です。「160万円ちょうど」や「1億8,000万円ちょうど」の場合は、一括の対象外(単独有期事業)となる点に注意しましょう。
  • 対象保険: 有期事業の一括は労災保険のみが対象です。 雇用保険は、それぞれの事業ごとではなく、企業全体(継続事業)として適用されるため、一括の対象にはなりません。
  • 当然一括: この制度は、要件を満たせば申請や認可なしに「当然に」適用されます。 「申請により認可を受ける」といった選択肢は誤りです。
  • 事業規模の変更: いったん一括有期事業として扱われた工事が、後から設計変更などで請負金額が増額し、1億8,000万円以上になったとしても、引き続き一括有期事業として扱われ、独立した有期事業とはなりません。

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よくある質問

Q: 請負金額に消費税は含まれますか?

A: いいえ、含みません。請負金額は消費税抜きの金額で判断します。

Q: 以前は工事場所に地域的な制限があったと聞きましたが、現在はどうなっていますか?

A: かつては、一括できる事業の場所に地域的な要件がありましたが、法改正により平成31年4月1日以降に開始する事業については、この地域要件は廃止されています。 そのため、遠隔地で行われる工事も一括の対象となります。

Q: 下請として工事を行った場合も、この制度の対象になりますか?

A: いいえ、なりません。有期事業の一括は、元請負人のみが対象です。下請負人として行った工事は、元請負人の事業に一括されるため、下請負人が自社の他の元請工事とまとめて一括することはできません。

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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/2/27 / 更新日: 2026/4/24

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