傷病補償等年金とは?社労士試験の重要ポイントを徹底解説
傷病補償等年金の定義
傷病補償等年金(しょうびょうほしょうとうねんきん)とは、業務災害または通勤災害による傷病の療養開始後、1年6か月を経過した日、またはその日以後において、その傷病が治っておらず(症状固定しておらず)、かつ、その傷病による障害の程度が法令で定められた傷病等級(第1級〜第3級)に該当する場合に、被災労働者に対して支給される年金のことです。
根拠条文は労働者災害補償保険法(ろうどうしゃさいがいほしょうほけんほう)第18条に定められています。
傷病補償等年金のポイント
社労士試験で問われる傷病補償等年金の重要ポイントは以下の通りです。
1. 支給要件
傷病補償等年金が支給されるためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 療養開始後1年6か月を経過していること
- 傷病が治ゆ(症状固定)していないこと
- その傷病による障害の程度が傷病等級第1級、第2級、または第3級に該当すること
特に「1年6か月」という期間と、「治っていない」という点が障害(補償)等給付との大きな違いであり、試験で狙われやすいポイントです。
2. 支給決定は「職権」
傷病補償等年金の支給決定は、被災労働者からの請求に基づいて行われるのではなく、所轄の労働基準監督署長の職権によって行われます。 療養開始から1年6か月が経過すると、労働基準監督署から「傷病の状態等に関する届」の提出が求められ、その内容に基づき署長が支給・不支給を決定します。
3. 休業(補償)給付との関係
傷病補償等年金が支給されることになると、それまで受給していた休業(補償)給付は支給されなくなります。 両方が同時に支給されることはありません。ただし、療養(補償)等給付は引き続き受給できます。
4. 年金額と付加給付
年金額は傷病等級に応じて、給付基礎日額(きゅうふきそにちがく)の313日分(第1級)から245日分(第3級)と定められています。
- 第1級:給付基礎日額の313日分
- 第2級:給付基礎日額の277日分
- 第3級:給付基礎日額の245日分
さらに、これに加えて傷病特別支給金(一時金)と傷病特別年金が支給されます。
【覚え方のコツ】 「一郎さん(1年6か月)、等級(1〜3級)ならば、治らず年金」と覚えておきましょう。支給要件のキーワードが詰まっています。
具体例で理解する傷病補償等年金
建設現場で働くAさんは、高所からの転落事故により重度の脊髄損傷を負い、療養生活を送っていました。事故から1年6か月が経過しても、自力での歩行は困難で、症状は一進一退を繰り返し、医師からも「まだ症状固定とは言えない」と診断されています。
この時点で、Aさんは休業補償給付を受給していましたが、労働基準監督署から「傷病の状態等に関する届」を提出するよう案内がありました。提出後、労働基準監督署長はAさんの障害の状態が傷病等級第2級に該当すると判断し、職権で休業補償給付の支給を停止し、傷病補償年金の支給を開始することを決定しました。
これにより、Aさんは経済的な不安を抱えながら、引き続き治療に専念することができるようになります。
試験対策:ひっかけに注意!
傷病補償等年金は、障害(補償)等年金との違いが頻繁に問われます。以下のひっかけポイントに注意してください。
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【ひっかけ1】請求が必要?
- 誤り:傷病補償等年金は、労働者の請求によって支給が開始される。
- 正しい:労働基準監督署長の職権によって支給が決定されます。 請求が必要なのは障害(補償)等給付です。
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【ひっかけ2】治ゆ(症状固定)が要件?
- 誤り:傷病が**治ゆ(症状固定)**したときに支給される。
- 正しい:傷病が治ゆ(症状固定)していないことが支給要件です。 治ゆ(症状固定)後に障害が残った場合に支給されるのは障害(補償)等給付です。
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【ひっかけ3】休業(補償)給付と併給される?
- 誤り:傷病補償等年金と休業(補償)給付は併給される。
- 正しい:傷病補償等年金が支給されると、休業(補償)給付は支給停止となります。
よくある質問
Q: 傷病補償等年金を受給している間に、症状が変化した場合はどうなりますか?
A: 傷病補償等年金の受給者の障害の程度に変動があった場合、労働基準監督署長は職権で等級の見直し(変更)を行うことがあります。症状が軽快して傷病等級に該当しなくなった場合は支給が停止され、再び休業(補償)給付の対象となることがあります。
Q: 傷病補償等年金を受給していましたが、ようやく症状が固定(治ゆ)しました。給付はどうなりますか?
A: 症状が固定(治ゆ)すると、傷病補償等年金の支給要件である「治っていないこと」を満たさなくなるため、支給は終了します。 その後、治ゆした時点での障害の程度が障害等級(第1級〜第14級)に該当する場合は、障害(補償)等給付(年金または一時金)が支給されることになります。
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※ この記事は2026年度社労士試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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